【テニスの王子様】花言葉とパレット【幸村精市】 (ページ2)

今日:21 hit、昨日:2 hit、合計:6,659 hit

1:お弁当の時間。教室にてページ2

澄んだ空。白くて淡い雲。
窓際の席で何となく見つめる。
すぐ下のグラウンドでは、同じクラスの男子達が早々に、お弁当を食べてサッカーをしている。
まだ昼休みじゃないから、本当はダメだけど。

｢……でねぇ！その時…ってちょっと！A！聞いてる？｣

いきなり名前を呼ばれて、ハッとする。

『ごめん…ちょっと考え事。』

ごめんね。と言いながら微笑むと、もぉ～…と頬を膨らませながらポニーテールを揺らす、彼女は宇佐美(うさみ) 心(こころ)。
夏休み明けすぐに転校してきた私と、一番最初に仲良くしてくれた子だ。

『それで、え～と…なんだっけ？』

さっきの話をもう一度聞こうとする。

｢えっと、Aが最近花の絵を描いてるって言うから、今日は屋上庭園はどう？…って言おうとした。｣

屋上庭園かぁ…実は興味あったり…
私は、新しい学校になれるために昼休みに学校探検してる。
元は、先生に

｢転校してきたばっかだから、まだ部活に入らなくていいけど…その代わり学校探検でもして、学校になれてくれ。2週間ぐらい。再来週の金曜日に入部届けの紙を渡すから。｣

と、投げやりに言われたのが理由。
でも悲しいことに来週までが期限。
来週までに、部活を決めなきゃ。

『私何部入ればいいと思う？』

何となく心ちゃんに聞く。

｢んー…ひしゅつぶ(美術部)？｣

と、卵焼きを食べながら答える。
だよねぇ…と答えながら、私は食べ終えたお弁当を仕舞う。
それを見た心ちゃんは、慌てたように卵焼きを飲み込む。

｢ん…ま、待って！食べんの早くない？同じくらいに食べ始めたよね？！｣

んなこといったって…
心ちゃんは、食べながらいろんな話をしていた。
別に私は話を聞いてて、楽しいし、良いんだけど、ご飯を食べるのが遅くなるのは普通だ。

『心ちゃん…それ、喋りながら食べるからじゃ…』

ないの？まで言い切る前に、おっけー、おっけー、分かった…と、心ちゃんに遮られた。
会ってまだ5日だけど、相変わらずだな。と思い、思わず微笑む。

『それじゃあ私、屋上庭園行ってくるね。』

机の中から、愛用しているスケッチブックと、筆箱を出す。

｢んー…行ってらっしゃーい！｣

笑顔で手を振る心ちゃんに、私も笑って手を振りかえす。
身長高いけど…子供っぽいところ多いなぁ…
とか、思いながら、さっきの光景に少し笑みを浮かべながら、私は教室を出た。