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ヒトツメリッパー殺人事件11 ページ11

そう考えると、不安ばかりが募っていく。春子さんは用事があるから、と弱々しい足取りで帰っていった。夏帆さんか秋弥くんのご法事でもあるのだろうか。
夕暮れ時、女の子を一人で帰らせるのもどうかと思ったけれど、僕は幸葵くんに一緒に帰ってあげて、ということはできなかった。色々な憶測を立ててしまったせいで、今一人にされたら、不安に押し潰されそうだ。幸葵くんの手を取り、ぎゅ、と握りしめた。
「もしかしたら、あの子は僕を殺すかもしれない……」
思わず憶測のままを吐露する。手の震えが伝わったのだろう、幸葵くんは息を飲み、それから僕の頬をそっと撫でた。
「大丈夫。俺がずっと傍にいて、君を見ているから」
落ち着いていて力強いその言葉に僕はほっとして、体から力を抜く。幸葵くんは僕の友達だ。天才で神童と呼ばれる彼になら、安心して任せられるだろう。
安心したからなのか、微睡み始めた僕に、幸葵くんはそっと囁いた。



「俺が守ってみせる」

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作者名:瑠色 | 作成日時:2018年9月19日 23時

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