今日:1 hit、昨日:3 hit、合計:1,425 hit
小|中|大
ヒトツメリッパー殺人事件11 ページ11
そう考えると、不安ばかりが募っていく。春子さんは用事があるから、と弱々しい足取りで帰っていった。夏帆さんか秋弥くんのご法事でもあるのだろうか。
夕暮れ時、女の子を一人で帰らせるのもどうかと思ったけれど、僕は幸葵くんに一緒に帰ってあげて、ということはできなかった。色々な憶測を立ててしまったせいで、今一人にされたら、不安に押し潰されそうだ。幸葵くんの手を取り、ぎゅ、と握りしめた。
「もしかしたら、あの子は僕を殺すかもしれない……」
思わず憶測のままを吐露する。手の震えが伝わったのだろう、幸葵くんは息を飲み、それから僕の頬をそっと撫でた。
「大丈夫。俺がずっと傍にいて、君を見ているから」
落ち着いていて力強いその言葉に僕はほっとして、体から力を抜く。幸葵くんは僕の友達だ。天才で神童と呼ばれる彼になら、安心して任せられるだろう。
安心したからなのか、微睡み始めた僕に、幸葵くんはそっと囁いた。
「俺が守ってみせる」
ヒトツメリッパー殺人事件12→←ヒトツメリッパー殺人事件10
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます
2人がお気に入り
2人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:瑠色 | 作成日時:2018年9月19日 23時