人それぞれ【d!】 (ページ8)

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ドライヤー【sha】ページ8

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私はドライヤーをするという行為が嫌いだ。お風呂に入るだけでも苦行なのに、なんだってお風呂から出てまでめんどくさい事をしなきゃならないんだ。ほんとにむり。でもドライヤーをしなきゃ髪がゴワゴワするしまとまらないから、しなきゃいけない。でもやりたくない。そんな気持ちを体現するかのように、お風呂上がり、濡れた髪のままソファでうだうだしていると、見かねたように彼がそばに寄ってきた。

「なにやっとんねん」
「ドライヤーがめんどくさい」
「はあ･･･」

これみよがしにため息をつく彼。この前もこんなやり取りをした。最終的に彼に無理やりドライヤーをさせられて終わったが、今回は負けないぞ･･･。意地でもこのまま寝てやるんだかんな。密かに対抗心を燃やして彼を睨みつける。
そんな私を見てもう一度ため息をついた彼は、言った。

「分かった、じゃあ俺がドライヤーしたる」
「は？」

またこの前みたいに鏡台の前に連れてかれてドライヤー持たされるのかと思ったら、シャオちゃんがしてくれるんですか？？まじですか･･･。予想外の展開に戸惑っていると、彼は不本意そうに眉を寄せた。

「ほら、はよここ座って」

鏡の前に小さな椅子を置いて、ドライヤーを構えて椅子の後ろに立つシャオちゃん。まじすか、ほんとにやってくれるの･･･？

「ほんとにいいの･･･？」
「仕方なくやからな、お前があそこでうだうだしとると俺がテレビ見られんし」

彼の指示に従い椅子に腰を下ろす。するとすぐに、暖かい風が頭上を吹き抜けた。シャオちゃんの骨ばった手が私の髪の毛を梳いていく。他人にドライヤーされるのなんて初めてだし、時折うなじを掠めるシャオちゃんの指先がくすぐったい。あと手つきが思ったより丁寧できゅんきゅんします。
割といい時間うだうだしていたせいで自然乾燥が進んでいたらしく、シャオちゃんによるドライヤーは直ぐに終わった。ちょっと名残惜しいな･･･、と思いながら、ドライヤーを片付けて何故かこちらを見つめてくるシャオちゃんにお礼を言う。
すると、彼は手を顎に添えて納得するようにこう言った。

「･･･うん、やっぱ髪さらさらのほうが可愛いわ」

･･･これからは、ドライヤーがんばろ。
ちょろい私が考えを改めドライヤーに精を出すようになるには、十分すぎる言葉であった。

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