人それぞれ【d!】 (ページ7)

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おいしいごはん【tn】ページ7

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「お邪魔しまーす」

随分前に貰った合鍵を使い、ゆり宅に入る。
廊下を進みリビングに入ると、某人をダメにするクッションの上で小さく丸まっているゆりを見つけた。
その姿がなんだか眠りこける犬のようで少し面白い。
手近にあった毛布をかけてやり、キッチンへと移動した。

「ええっと、おたまおたま･･･」

我ながら独身男性が言うようなセリフではないと思う。
だがしかし、これも可愛い幼馴染のためだ。
鍋に炊いた白米を入れ、卵を溶き入れ火を止める。
5分ほど蒸らしている間に、お盆と食器を準備する。
蒸らし終わったおかゆをお椀に盛って、完成。
ふわりと鼻腔をくすぐる良い香りに今回も上手くできた、と内心ほくほくだ。
おかゆをリビングの机の上に置くと、ゆりが小さく唸った。

「ゆり〜？おかゆ出来たからはよ食べや」

「んぐ･･･おかゆ･･･」

「はいはい、立ってな〜」

寝ぼけ眼のゆりを椅子に座らせると、手を合わせて小さな声で「いただきます･･･」と呟いていた。
半分寝てても挨拶はするなんて日本人の鑑だな、こいつ。
危なっかしい手つきでおかゆを口に運び、ゆっくりと咀嚼するゆりを見守る。

「どう、うまい？結構上手くできたと思っててんけど」

「･･･うん、おいしいよ」

ふにゃ、っと惚けるような笑みを浮かべるゆり。
そう、その顔だ。
ゆりが美味いものを食べた時に良くする表情。
その顔が大好きなんだ。
･･･これからもずっとゆりに飯を作ってやれたらな、なんて俺が言うのも変か。

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