人それぞれ【d!】 (ページ20)

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願わくはずっと！【sha】ページ20

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｢……ゆりは、なんかあるんか？｣

シャープペンシルを動かす手を止めて、こちらを見るシャオロン。私は椅子に寄りかかっていて、シャオロンは机に向かったまま目線をこちらに寄越しただけなので、自然と上目遣いされている形になる。……まつげ長いなこいつ。

｢ある訳ないでしょ。家でゲームでもするわ｣

なんだかいつもと違う表情をしているシャオロンにひとり勝手に気まずくなって、わざとシャオロンから目線を外した。

｢……せやんな！お前に予定なんてあるわけないよな！｣
｢殴れってことでいい？｣

やけに嬉しそうに声を弾ませたシャオロン。なんだ私が非リアなのがそんな嬉しいかよ〜し殴ってやろうな〜。拳を振り上げると、ちょお待ってや！ストップストップ！と慌てた声を出すシャオロン。訳があるんやって！などと喚いているから大人しく腕を下ろしてあげた。

｢見て！ほらこれ！｣
｢ほお！｣

シャオロンが黄色いリュックサックから取り出したのは、少ししわがよったチケット。それには『期間限定ケーキバイキング！先着300名様限定となっております！』と大きく記されていて、シャオロンが300名の中の一人に入れたことが伺える。

｢これにな、誘おうと思っててん。今日限定なんよね｣
｢シャオロンいい仕事するじゃ〜ん！！｣

何を隠そう、私は甘いものが大好きなのである。こいつと行くんだったら別に遠慮なんてする必要は無いし、ケーキいっぱい食べれるし。願ったり叶ったりだ。

｢でな。ここ見て｣
｢ん〜？｣

シャオロンがチケットの端を指さす。米印の横に小さな文字で、『カップル様限定となっております。必ずお二人でお越しくださりますようお願い申し上げます。』と。それをしっかり読んだ後、シャオロンの顔を見上げる。

｢今日一日だけ、俺ら付き合おうや｣
｢……のった！｣

シャオロンと固い握手をかわす。思いがけず、イブだけリア充になれそうだ。一日だけの契約だとしても、たとえ相手が見知った男友達だとしても、彼氏という言葉はなんだか心が踊る。

｢今日学校終わったらそのまま行こ｣
｢おっけ〜！｣

決まりやで、と言ってにやっと笑ったシャオロンは、先ほどより機嫌良さそうに英語の課題に取り組んでいた。

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