人それぞれ【d!】 (ページ19)

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願わくはずっと！【sha】ページ19

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｢きりーつ、れーい｣

間延びした声が響く。今日の日直は誰だっけ。確か、相良くんとかだったかなあ。

｢ありがとーございましたー｣

朝のホームルームが終わった途端に、がやがやと色めき出すクラスメイト達。なんだか今日は、朝登校して教室に入った時からみんなそわそわと浮き足立っていて、違和感がすごい。

｢ねえシャオロン｣
｢なに〜……｣
｢今日なんかみんなテンション高くない？｣

なんでかなあ、などと隣の席のシャオロンに聞いてみる。三時間目に提出の英語の課題を必死で写していた彼が、私の言葉を聞いた瞬間ばっとこちらを向いた。

｢……お前それマジで言うとん？｣
｢え、何？なんか変な事言った？｣
｢今日何日か知っとる？｣
｢え？え〜と……｣

呆れ顔のシャオロンが黒板を指し示す。白いチョークでいつも通り粗雑に書かれた日付を読み上げた。

｢12月24日。……あっ！｣
｢マジで今気づいたんか……｣

今日クリスマスイブやろ、と呟いたシャオロンの声に私がかなりの馬鹿であったことを悟った。そう、今日は12月24日。正真正銘クリスマスイブである。

｢だから今日こんななのか……｣
｢むしろ今まで気づいとらんかったお前に惚れ惚れするわ｣

はっ、と鼻で笑ったシャオロンは私を軽く嘲笑ってから英語の課題に戻った。

｢ね〜ぇシャオロンく〜ん？そのノート誰が貸してあげたと思ってるのかなぁ〜？｣
｢神様仏様ゆり様でございますすみませんすみません！！！｣
｢よろしい｣

煽り顔のシャオロンが死ぬ程ムカついたので英語のノートの端をくっと引っ張ってやると、彼はそれを取られまいと机に張り付いて私を褒め讃えた。うんうんそうでなくちゃ。……それにしても、クリスマスイブかあ。

｢シャオロン今日なんか予定あんの？｣

がりがりと汚い字で英文を写すシャオロン。こいつはこれでも影でモテているらしいので、彼女のひとりやふたりいるかなあと思って聞いてみたのだが、返答はあまりにもつまらないものだった。

｢んや、何もない。本当は今日部活あったんやけど、雪降ってグラウンド使えなくなってしもたからマジで何もない｣
｢ほ〜……｣
｢聞いといて興味無さそうな反応すんなや｣

つまんないの。予定あるんだったらめちゃくちゃ茶化して遊んでやろうと思ったのに。とっとと彼女作れよ平均化野郎。

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