人それぞれ【d!】 (ページ2)

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翡翠の瞳【zm】ページ2

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ダクトを使い目的地に向かう途中、話を聞いた。

「ねえ、知ってる？暗殺部隊の隊長。いっつもフード被ってるし前髪も長いから、目元が全く見えないんだって。暗殺相手には、三日月形に浮かぶ口元だけがはっきり見えて･･･仕事柄も相まって『嗤う死神』って呼ばれてるらしいよ！」

ああ、俺の話か。
入りを聞くかぎり良い話ではなさそうだ。
気配を消して早く去ろう。
そう思ったが、話し始めた女の隣で歩いていた別の女。
･･･どこかで見たことがある気がして、なんとなく興味が湧いた。
話を聞くことにした。

「なんですかその厨二くさい二つ名は。･･･ていうか、暗殺部隊の隊長ってゾムさんのことですよね？あの〜･･･、とても綺麗な翡翠色の瞳の方」

耳を疑った。
まず、俺の目を見られていたということに。
次に、事務員であろう彼女が俺の名前を知っていたことに。
最後に･･･、俺のこの、忌み嫌われた目を、綺麗だと表現したことに。
そんなこと、初めて言われた。
誰も見ていないのに、人知れず熱くなった頬を隠した。

「え？！ゆりあんた見たことあんの？！？！なんで？？」

「ええっと･･･。確か、前に戦闘訓練をぼーっと見てた時に強風が吹いて、偶然」

「へえ、そうなんだ！･･･でも、翡翠色って緑ってことでしょ？この国ではあんまり良しとしてないよね。だから隠してるのかなあ」

調子に乗って話を聞き続けた。
･･･彼女に俺の戦う姿を見られていたのか。
なんだか恥ずかしい。
だが、彼女ではない方の女が余計な言葉をはさむ。
ああそうさ、俺はこの国で忌み嫌われた緑の目。
だから隠している。図星だ。
もしかしたら彼女はこの国で緑の目が忌み嫌われていることを知らなかったからあんな事がいえたのかもしれない。
となると、彼女はもう俺の目を綺麗だとは言ってくれない。
なんだか酷く悲しかった。

「そうですねえ･･･。」

「なによ、その歯切れの悪い言い方」

彼女が言葉を濁している。
やっぱりそうだ。
彼女は気付いてしまったのか。
やっぱり、この目は･･･。

「いや･･･。あの時の光景を思い出していたんです。あの時、風が吹いた時。強い太陽に照らされてきらきら輝いてたんです、まるで宝石みたいに。本当に綺麗だなあって思って。この国では良しとされていなくても、個人的に好きですね」

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