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「ちょっと早めに帰ろうか」
と、Aは時計台を見上げながら言った。
針は昼下がり。
移動時間も考えれば、贅沢に時間を使う事はできないかも知れないが。
「うん、……本当、御免な」
「良いよ、何で謝るのさ」
Aは、何故ひとらんらんが謝るのか解らない、と、首を傾げる。
抑も彼の言った事は嘘の類でも無く、少なくともAの事を思っての行動だ。
恐らく、最も無防備なのは、移動中。
『イーグル』で、移動して居る時だ。
地上であれば、喩え敵が本当に居たとして、ひとらんらんも十分に迎撃できる。
その為に、彼は常に腰に、愛刀を差しているのだ。
腕に覚えのない訳では無い。
余程の人数や手練れ、荒業の類で押してこない限りは、Aを守れる自信は、ある。
だが、それは地上の話だ。
空の上＿＿『イーグル』で移動して居る時襲われては、足場なども心許ないし、近接戦に持ち込めない可能性の方が高い。
詰り、Aの腕に頼って城塞まで逃げ切るより他は無くなる。
別に、それはそれで可能ではあるのだろう。
Aの腕が良いのは、素人目にも見て取れる。
だが、只『逃げる』と言う選択肢は、正直心許ない。
一つは、相手が如何言ったタイプの人間か解らないからだ。
城塞に向かっているのを察し、城塞に近付けば引き返すような相手であれば良い。
が、そうでなく、喩えそれが不可能な芸当であり、本人もそれが解って居たとしても突っ込んでくるようなのが、居ないではない。
それに、もし相手が城塞に突っ込んでも勝てる、という確信を＿＿それが見込み違いだとしても＿＿抱いているとすれば、如何考えても突っ込んでくる。
この確信が現実的な物であれば、更に厄介だ。
ひとらんらんは、守るべき仲間の集結する城塞に、その厄介の種を持ち込みたくはない。
それは恐らく、Aも同じだ。
Aの方は元空賊で、『イーグル』の上の戦闘も、少しは憶えがあるのかも知れない。Aのあの腕だ、恐らくその見立て自体は間違ってはいないし、やろうと思えば少しはできる筈だ。
が、『イーグル』自体戦闘用でも無いのだから、それはそれで難しい。
何より此方は、遠距離でも迎撃できる武器がない。
形勢を合理的に考えれば解る事だが、圧倒的に不利だ。
相手の事が何一つ、解らない以上は。
「ひとらん、さっき言っただろう？ 私は見回りの一環でこの辺りに来た事あった、って」
「嗚呼、……」
「此の辺りの地図位、頭に入ってる」
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遥彼方 - 七瀬さん» 感想有難うございます。返信遅くなり申し訳ありません。貴方様の様な丁寧にお読み下さる読者様がいらっしゃるので、此処を未だ覘いてしまうんですよ(笑)。此方こそ本作に出会い楽しんで下さり有難うございました。霊圧消えがちですが宜しければ見守って下さい(笑)。 (2022年9月2日 3時) (
レス) id: db6f42df22 (このIDを非表示/違反報告)
七瀬 - （矢印があっちゃこっちゃしてますすみません）遥彼方様は度々「二桁にいかないように」と仰っていましたが、一度思いっきり書いてみて欲しいです笑 この作品で初めて貴方様の事を知ったので、これから作品巡回しようと思います！最後に。完結有難うございました。 (2022年8月3日 20時) (レス) id: 53c0dcf46a (このIDを非表示/違反報告)
七瀬 - ↓日本語の良さと言いますか、それを存分に引き出す表現方法や言葉選びには只々感服するばかりです…更にストーリー展開や登場人物のキャラ立ちも本当に素晴らしいです…！htrnnのカッコ良さに惚れました。登場人物の方の口調が凄く好みです、やばい。↑ (2022年8月3日 20時) (レス) id: 53c0dcf46a (このIDを非表示/違反報告)
七瀬 - 完結後二年も経った作品にコメントを残してしまうのは自分でもどうかと思いますが、貴方様の作品に深く感銘を受けた故、お許し下さい。遥彼方様の書かれる文章に一目ぼれしました。↓ (2022年8月3日 19時) (レス) @page48 id: 53c0dcf46a (このIDを非表示/違反報告)
774号（現在稼働中）(プロフ) - 遥彼方さん» おぅあ…コメント返信ありがとうございますっ!774です!このお話は永久に心の中に置いておきたい、まさに名作だと思います!遥彼方様、どうかお元気で! (2022年4月18日 16時) (レス) @page41 id: e50bf9dc91 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：遥彼方 | 作成日時：2020年3月8日 0時
