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とは言え、物を訊くとなれば話は別だ。
ほんの少しの琴線が、Aに総てを隠させるからだ。
「嗚呼」と、ひとらんらんの思考を知らずか、ニコラスは頷いた。
「Aが＿＿彼奴と同じ黒を持つのを、無下にする訳がない」
.
.
二言三言交わして、ニコラスと別れたひとらんらんは、悶々と考え込んで居た。
何となく足を進めていると、いつの間にか庭の方へ辿り着いて居る。不思議な物だ。
(……Aは)
喋らない奴ではない。とひとらんらんは思う。
寧ろ気まずい沈黙の降りそうな時は話題を振り、場を明るくできる奴で、誰とでも隔意なく仲良くできる様なのがAだ。
と言って相手や場所、時を見て巧く黙って只穏やかな表情で居る事もできる。
あれは一種、才能なのだろう。
だが、毎度の如く肝心な事は、言わなさすぎる。狙って居るのかと思う程黙っているのである。
然も、周囲にそう言う重要な時ばかり、一切物を語る事もせず、頼ろうとしないと来た！
ひとらんらんは、病気のためにいつぞにAのぶっ倒れたのを思い出しながら、マスクで隠れているのを良い事に苦い顔をする。
云い方は悪いが、下らない事になら快く答える。
言い換えれば、肝心な処は巧い事はぐらかして隠し通されるのがオチだ。
勿論A本人にとっての些末な事例と言う意味合いなので、たかが人一人の付き合いの事を位、訊けば教えてくれるのかも知れないが。
態々そんな為に余り仕事の事もあり会わないAに態々会いに行って訊くと言うのも、何だか奇妙に思える。
(……)
恐らくあの性格だ、どれほどに仲がニコラスとAが良かろうと＿＿Aは、自分の病の事をおくびにも出して居ないのだろう。
実際ニコラスは、それと言った言動を見せなかった。
若し言って居たにしても、「秘密にして欲しい」とAは強く言い含める筈だから、その事をニコラスに訊くのも都合が悪いので、口には出さなかったが。
にしても、Aは一体、頑なに人を頼らない。
何でもない処で巧く人に頼った風に
そんな処で隠し事が巧いのを発揮されても困る。
違う方向に走り始めた思考を、ひとらんらんは元に強制的に戻す。
取り敢えずは良いのだ、変わり者元帥の＿＿Aの、あの変な処で秘密主義の性格は。
態々、訊きに行く気は、流石にしない。
だが同郷のその人に、ひとらんらんは思いを馳せずにはいられなかった。
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遥彼方 - こゆきさん» コメント有難うございます！返信遅くなり申し訳ございません。書き手にとっての最上の褒め言葉を有難うございます！今回は文章にこだわって居たのもあって滅茶苦茶嬉しいです。応援、確かに受け取らせて頂きました。之からも楽しんで頂ければ幸いです！ (2020年1月20日 1時) (
レス) id: b1e6400f22 (このIDを非表示/違反報告)
こゆき(プロフ) - 初めまして。拙いですが心に有り余って仕方ないので失礼致します。文章の書き方が好きです。表現が綺麗で世界観も細かくて、すっと入りやすい文章で、凄いもう伸びろ……って感じです、本当。こっそり応援してます。 (2020年1月17日 22時) (レス) id: 0707af67a4 (このIDを非表示/違反報告)
遥彼方 - 阿月夜衣さん» コメント有難うございます。前作も大変お世話になりました！htrn先輩イケメンに書きたかったので嬉しいです！osさんの処は後悔し気味ですが、そう仰って頂けると救われます。文章褒めて頂いて有難いです！応援確かに受け取りました、之からも楽しんで頂ければ幸いです！ (2019年12月27日 2時) (レス) id: b1e6400f22 (このIDを非表示/違反報告)
阿月夜衣(プロフ) - htrn先輩イケメン過ぎませんか?ガチ悲鳴出ましたよ?…青の時から拝読させて頂いていますが､素敵な文の書き方だと思います｡osさんのところはなんか頭の片隅で理解しました｡伝わる人には伝わるのではないでしょうかね｡これからも応援させていただきますね｡ (2019年12月27日 1時) (レス) id: 515131223d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：遥彼方 | 作成日時：2019年12月24日 12時
