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「ええと、……Aさん、お知合いですか……？」
フローラは現実に帰った様にはっとして、Aにおずおず尋ねた。
「嗚呼、昔ちょっとあってね」
Aはその質問に簡素な答えを返してから、「アル、ちょっと退いて」と上半身だけ起こす時に地面に付いた手に力を込める。
アルバートが「嗚呼」と肯き、退いて立つ。
Aは地を押して立ち上がり、服に付いた埃をぱんぱん、と少し払った。
少年の名は『アルバート＝Ｄ＝レクリト』。
その表情などは其処等の少年と同様に無邪気を湛えているが、身に纏った服は歳不相応に思われるほど高級な物だと、素人でも解る。
それも当然、少年は隣国の第二皇子だ。
「アルバート皇子！」
アルバートの背後の方から、ぱたぱたと複数の駆け足の足音が聞こえてくる。
アルバートが振り返り、Aが少し体を傾けながら首を伸ばし、その方向を確かめる。
「……逃げてでも来た？」
「失礼な事を言うな」Aの率直に零れ落ちた疑問に、アルバートは心外だ、とばかり頬を脹れさせる。
「一緒に居た事は居たのだが、
「……やれやれ」
何処までも無邪気なアルバートに、Aは小さく肩を竦める。
全くこの皇子には悪気がない。そう言う処が、幼気が抜けぬ『子供』のイメージを更に加速させる。
「皇子の自覚が足りない、と良く周りに言われないか？」
「良く解ったな」
Aの一抹揶揄いを含んだ言葉に、アルバートは即答した。恐らく少しもそのニュアンスに気づいて居ない。
「……」
Aはその余りに無邪気に幼い様子を眺めて、溜息を呑み込んで黙り込み、再び肩を竦めた。
教師が、出来ない子供に呆れる仕草にも似ていた。
「アルバート皇子、驚きましたよ、行き成り駆けて行かれるので」
「嗚呼、知人が居たので、つい、な」
アルバートは従者と、もう一人、我々国の方のお付きの者に、大して悪びれもせずそう言った。子供と言うのはそう言う、やや自己中心的な物の見方の抜けぬ処に定義があるのかも知れない。
そう言う意味合いで言えば、アルバートのこの態度は、それに似通った部分がある。
「クラウディア元帥、……皇子を御存じでいらしたのですか？」
「嗚呼、ちょっとね」
我々国の方の男に、Aは驚くほど簡単な肯定を見せた。
＊＊
アルバート＝Ｄ＝レクリト。
某国第二皇子。渾名は『アル』。
Aと面識がある。年相応に無邪気な感じ
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遥彼方 - 。負け犬団長さん» コメント有難うございます！その辺りは本当に書いていて楽しかったので、そう言って頂けて感涙です。是非ゆっくりと楽しんでらして下さい〜 (2020年3月2日 1時) (
レス) id: b1e6400f22 (このIDを非表示/違反報告)
。負け犬団長(プロフ) - 主ちゃんの怒ったシーンの描写が普段穏やかな主ちゃんとのギャップ？で読んでいてとでもドキドキしました！それと主ちゃんの怒りがひと段落したところでの主ちゃんの空への思いが文章からあふれていてとてもきれいです！ (2020年3月1日 22時) (レス) id: 10fa209271 (このIDを非表示/違反報告)
遥彼方 - 瑠奈さん» コメント有難うございます！前作では大変お世話になりました。勿体無い程のご評価に舞い踊る程の喜びを感じております。此方こそ有難うございます！先は長いですが、楽しんで頂ければ幸いです。 (2019年12月7日 16時) (レス) id: b1e6400f22 (このIDを非表示/違反報告)
瑠奈 - 蒼から来ました〜前作も感動し、今作の面白さ、読みやすさに感激している今日この頃です。ありがとうございます (2019年12月7日 14時) (レス) id: 8b40ad9508 (このIDを非表示/違反報告)
遥彼方 - 桜舞姫・蝶月姫さん» 有難うございます！続編移行に注力します……少し（？）お待ちくださいませ……！ (2019年12月7日 1時) (レス) id: b1e6400f22 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：遥彼方 | 作成日時：2019年11月13日 0時
