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(本当に、事の重さを知って居るんだろうか)
とさえひとらんらんが心配してしまう程、Aの方はその秘密に対して気負いがない。
訊かれれば答えるのではないかと思われる程、その言動は羽のような、いい意味での軽やかな物だ。
否、自分で『秘密』の体を取ったのだ、A自ら口外するような真似はしないだろうが。
秘密を抱える人間と言うのは、それを悟らせまいと、微かの言動にも敏感になってしまう物だが、Aを見てみれば、如何だろうと首を傾げざるを得ない。
そんな事を周囲の人間で、秘密をいつでも開示でき、それの大きすぎるデメリットも無いひとらんらんが気にしてしまう程に、Aの様子は余りに普段通りなのである。
「……彼奴らに不自然に思われないと良いけど」
ひとらんらんは半分以上無意識に、そう零した。
少しはっとして、Aの方を伺いみた。
Aは対して気にした風もなく、「ちょっとは思われてるかもね」と、けろりとしている。
「大丈夫なんじゃない？ 君は優しいから、先の事で気を掛けただけ。私はそれにお返ししようとしただけ」
能天気な答えだった。
ひとらんらんはその答に、一瞬Aの危機管理能力を疑った。
幾らひとらんらんが幹部達に優しい、と思われており、先の事情を知って居たのだとしても、洞察に優れた人間は当然幹部内にも幾らかいる。彼らが少しの違和感も抱かぬとは決して断言できないし、寧ろ訝しむ展開の方が納得できるほどだ。
「能天気な……」
ひとらんらんは、そう愚痴っぽく零した。
何故か自分の秘密でもないのに、其処等の心配を一手に引き受けてしまって居るのは、ひとらんらんの性故なのか、Aの性故なのか。
「気にしすぎない方が身の為だからね」
Aは薄く笑って見せ、
「それに、じゃないと、寧ろ『目』を付けられる」
今度はやや、トーンを落した声で言った。
穏やかで温かみのある声をいつもして居る為に、そうするだけで、聴いた者の気持ちを強制的に静かな所に沈めようとするような音になるのである。
(まあ、確かに)
ひとらんらんも、Aの言って居る事には確かに一理あると思って、それ以上の心配事の言葉は呑み込んだ。
行動の先々に気を付ける事は当然、ひとらんらんが気にした様に必要な事ではある。
だが、其処に気を取られてばかりいると、寧ろ行動に足枷がついて、不自然＿＿ひいては違和感を生み出す原因にもなりかねない。と言うのも、事実である。
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遥彼方 - 。負け犬団長さん» コメント有難うございます！その辺りは本当に書いていて楽しかったので、そう言って頂けて感涙です。是非ゆっくりと楽しんでらして下さい〜 (2020年3月2日 1時) (
レス) id: b1e6400f22 (このIDを非表示/違反報告)
。負け犬団長(プロフ) - 主ちゃんの怒ったシーンの描写が普段穏やかな主ちゃんとのギャップ？で読んでいてとでもドキドキしました！それと主ちゃんの怒りがひと段落したところでの主ちゃんの空への思いが文章からあふれていてとてもきれいです！ (2020年3月1日 22時) (レス) id: 10fa209271 (このIDを非表示/違反報告)
遥彼方 - 瑠奈さん» コメント有難うございます！前作では大変お世話になりました。勿体無い程のご評価に舞い踊る程の喜びを感じております。此方こそ有難うございます！先は長いですが、楽しんで頂ければ幸いです。 (2019年12月7日 16時) (レス) id: b1e6400f22 (このIDを非表示/違反報告)
瑠奈 - 蒼から来ました〜前作も感動し、今作の面白さ、読みやすさに感激している今日この頃です。ありがとうございます (2019年12月7日 14時) (レス) id: 8b40ad9508 (このIDを非表示/違反報告)
遥彼方 - 桜舞姫・蝶月姫さん» 有難うございます！続編移行に注力します……少し（？）お待ちくださいませ……！ (2019年12月7日 1時) (レス) id: b1e6400f22 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：遥彼方 | 作成日時：2019年11月13日 0時
