[wrwrd]白に包まる

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イーグルクラフトのイメージは一応、空行くバイクです。
鳥だけど。

「一応」なので、当然皆様の想像で大丈夫です。だってデザイン決めてない。
「どうしても想像つかん」ッて方は、『ホークザイル』と言うのをご覧下さい


＊＊



『イーグルクラフト』は厳正な審査があるが、一定数の人間の交通手段でもある。ので、まあやや(・・)一般的、と云った処か。

閑話休題。



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空の温かな赤みの中に、Aは肩に羽織る事の多いジャケットに袖を通して、イーグルクラフトにエンジンを入れる。鳥の頭を撫で、座席に跨った。



フローラは、Aのその手慣れた一連の動作を見ていた。

フローラは空軍の出でありながら、実は兵学校時代から飛行が苦手と言う致命的な一面を持つ。
『飛ぶ』のが嫌い(・・)なのではなく、能力的な問題で出来ない(・・・・)のである。



そんな事はAとて知っているので、フローラの心の奥の願いとて知っている。
知って居るから毎度の如く、こう誘ってやる。


「……乗る？」

「ッ是非」


フローラは非常に幸福そうに嬉しそうな表情だった。飛ぶ事は寧ろ好きなのである。


自分の後ろにAはフローラを乗せ、自分に掴まるように指示をする。背から、フローラの腕がAの腹の辺りにギュッ、と回される。
それを確認してから、Aはエンジンを噴き上げた。



.



温かな夕日に、夜の間で頬を吹き抜ける風は冬の名残をはっきりと残して冷たい。
空は青に赤、其処に滲み出す黒が混在している。


いつもは常に機嫌も何もなく、穏やかに機嫌良く(・・・・)過ごすAが、空の上では本当に楽しそうにする。いつもよりもずっと上機嫌になる。

それは本人も自覚していたし、当然フローラも解って居た。

フローラの方も、自分ではできなくともAが乗せて呉れる事で、『飛ぶ』感覚の中に身を置く事が出来る。それは嬉しい事だった。


Aは大概フローラの心情を察して、誘って乗せて遣った。本当に一人で飛びたいときは、単純に一人で飛ぶ事もあったが。


「……楽しい、フローラ？」


「ッはい、飛ぶのは好きだけど、私は飛べないから、……本当に嬉しい」


「なら良かった」と、Aは声の感情を綻ばせた。「厭ならはっきり言うんだよ」


「厭なんてなりません」とフローラの方は頬を膨らませる。声にもたっぷりとその色が出ていて、Aは柔く笑った。
フローラは本気でそう思っているらしかった。

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