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雲ひとつない青空は、逆にどこか不安になる
全て飲み込まれてしまいそうで
私の気持ちを、全部知っているみたいで
なにもかも、見られているような気がする
「A、店開けるよ」
私とお揃いのエプロンをした健人くんの声が聞こえて振り返る
今日は土曜日
親子連れや家族連れの方が多く来店する日だ
両親と上手くいっていなかった身からしたら、家族で買い物なんてバカみたいな話だった
だからそんな家庭を見ては皮肉に思っていたし、心のどこかでバカにしていたりもした
でも本当は、羨ましかっただけなんだ
「今日はAも接客、よろしくね」
健人くんはそんなこと全て知っていて、私にそう頼んだ
今日の空みたいな人だ
なんだって、お見通し
「頑張ります」
ニコッと笑ったその笑顔
この店に花を買いに来る人は、結局健人くんに癒されて帰っていく
それも、花屋の魅力なのだろうか
「お客さんは、話をしに来るんだよ」
「はなし?」
「家族のこと、自分のこと…それを聞いてほしくてここに来る。
そして綺麗な花に囲まれて、匂いに包まれてホッと一息ついて帰っていくんだよ」
健人くんが話しているそばから今日も常連さんがやって来て、「なんかいいのある?」とまるで喫茶店に入って「いつもの」と言うのと同じようなテンションで話しかける
その横顔は、笑っていた
この店に来る人は皆、笑って帰っていく
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えつ(プロフ) - あいさん» コメントありがとうございます。そう言っていただけて嬉しいです^^続編もよろしくお願いします! (2019年4月24日 23時) (レス) id: 94efd89660 (このIDを非表示/違反報告)
あい(プロフ) - はじめまして。この作品すごく好きです!一気に読んでしまいました。移行後の続きを楽しみに待ってます。 (2019年4月24日 17時) (レス) id: 88ef7968ef (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:えつ | 作成日時:2019年4月6日 22時