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花屋の朝は早い
より状態のいい花をお店に出すため、朝1番で仕入れを行う
今朝は早起きしたつもりだったのに、健人くんはもう市場へと行ってしまった後だった
仕方なく店の掃除をしながら彼の帰りを待つ
風磨くんに、「花屋になる」と誓った次の日からお店に立たせてもらえるように健人くんにお願いをした
手伝い程度でしか関わってこなかったこと
それは私が1番、関わらなきゃいけなかったこと
彼は快く受け入れてくれて、仕事のやり方などを丁寧に教えてくれた
両親が毎日やっていたこと
その大変さを私は初めて知った気がした
「ただいま」
たくさんの花たちに囲まれて帰ってきた健人くんからそれらを受け取ると、花の鮮度を保つために水揚げという作業を行う
幼い頃からずっと見てきたので、まあまあ腕はあるらしく健人くんはすぐにその作業を任せてくれるようになった
「…にしても、どういう風の吹き回し?」
薔薇の余分な葉を切りながら、朝日に照らされた健人くんが笑う
無理もない、この前まであんな態度だったんだから
「誰にもならなくていいって知ったからかな」
「なにそれ」
両親みたいにならなきゃいけない
勝利みたいにならないといけない
健人くんみたいになりたい
でも、なれない
だから嫌だったんだ
辛かったんだ
でも、私は私でいいとあの日彼は言った
だからなんとなく、なんとなくだけど、少しだけ前に進める気がしたんだ
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えつ(プロフ) - あいさん» コメントありがとうございます。そう言っていただけて嬉しいです^^続編もよろしくお願いします! (2019年4月24日 23時) (レス) id: 94efd89660 (このIDを非表示/違反報告)
あい(プロフ) - はじめまして。この作品すごく好きです!一気に読んでしまいました。移行後の続きを楽しみに待ってます。 (2019年4月24日 17時) (レス) id: 88ef7968ef (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:えつ | 作成日時:2019年4月6日 22時