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手に持っていたジョーロを床に置くと、風磨くんはまたお店の中を歩き出した








「俺が従兄弟に会った時、Aちゃんに似てると思ったのは2人に同じものを感じたからだよ」








いつも健人くんのことを「従兄弟」と呼ぶ彼が可愛くて、愛おしくて








私は風磨くんの顔を見て少しだけ笑った








健人くんに初めて会った時、彼は「お兄さん?」と私に聞いて私たちのことを似てると言って笑った








「Aちゃんはずーっと、お花屋さんだったんだよ」








私がそんな感情を持っていただなんて、誰が知っていただろうか








健人くんも勝利も、本当は知っていたのだろうか








彼から出てくる言葉は、なんだか魔法みたいで








風磨くんが居るだけで、その場所は明るくなって








そんな、カラフルな世界に








こんな、私が








居ても、いいのかな









「……風磨くんは、紫」


「ぇ?」


「紫の薔薇が似合う、とっても」









あなたという人間を、私はきっといつまでも尊敬する








その笑顔も、なんだか読めないその心も









あの日くれた優しさも









モノクロの世界に見つけた、たったひとつの色鮮やかな花









「Aちゃんは…白、かな」


「白?」


「これから、何にでもなれる」









空に伸びなくても








上を目指さなくても








私の隣には、こんなに眩しい太陽がある









「大丈夫、君はもう大丈夫だ」








空しか見ていなかったら、ここにある太陽はきっと目に入らない









彼は優しく微笑むと、暖かいその両腕でそっと私を包み込む









「……俺色に、染めてやりてぇ」









その腕の中で、ふと思った









生まれる前、どこかで感じたような暖かさだった








どこかで見たような景色だった









そしてそれは、そこにあったのに見ないフリをしていた愛情だと気づいた








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えつ(プロフ) - あいさん» コメントありがとうございます。そう言っていただけて嬉しいです^^続編もよろしくお願いします! (2019年4月24日 23時) (レス) id: 94efd89660 (このIDを非表示/違反報告)
あい(プロフ) - はじめまして。この作品すごく好きです!一気に読んでしまいました。移行後の続きを楽しみに待ってます。 (2019年4月24日 17時) (レス) id: 88ef7968ef (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:えつ | 作成日時:2019年4月6日 22時

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