見えない愛2 (ページ19)

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信五said
大倉が…倒れた。
俺は目の前で何が起きているんか
全然理解出来んくてただ立ちつくしていた。
でもヨコの声で何とか正気を取り戻して
救急車の手配をしてどこが痛いのか聞いた。
幸い意識はあるし
ヨコが話しかけた時も誰かわかっとったけど
痛いとしか言うてくれんから
どこが痛いのかを聞き出すのに必死になった。

信｢大倉合ってたら頷くか俺の手強く握ってな。
痛いんは頭か？｣

そう言ったらギュッと手を握ってきたから
頭やなと分かった。
そもそも脳腫瘍の多くは転移しないから
再発が多いらしい。
とうとう…来てしまったのか
神様…早いて。なんでそない大倉を苦しめるん？

でも…俺らも負けてばっかは居られへん。
やから病気のことについてたくさん勉強したんや。

章｢大倉？痛い以外なんかある？｣

ヤスがそう言うたらまた手を強く握ってきた。

章｢ふらふらする？物二重に見える？見えにくい？｣

そしたら大倉がまた手を握った。
けどその力は明らかに弱くなっていた。

隆｢大倉、俺やで。分かるか？みんな分かるか？｣

マルが意識飛ばんように一生懸命話しかけてる。
救急車はまだ来ない。
実際まだ電話して2分もたってないのかもしれない。
でももうずっと待っているような感覚になって
遅い…とイライラしてしまう。

ス｢救急車到着しました！｣

救｢大倉さん？分かりますか？｣

裕｢えっと…頭痛くて見えにくいみたいです。｣

救｢分かりました。ありがとうございます。
どなたか同乗していただけませんか？｣

みんな行きたいはず。そばにいたいはず。
やけどみんながみんなのこと考えるから
誰も自分から行きたいとは言わなかった。

裕｢…ヒナ。お前が行け。｣

信｢でも…｣

章｢俺らは亮と渋やんにも連絡してすぐ行くから。｣

隆｢とにかく村上くんは大倉に着いてあげて！｣

みんながそう言ってくれたから俺は覚悟を決めた。

信｢…分かった。お願いします！｣

救｢では出発させます。｣

信｢大倉…大丈夫やからな。｣

忠｢むら…かみく…ん｣

信｢ん？どうした？｣

忠｢ご…めん｣

そう言って大倉は意識を手放した。
救急車の中は機械音で包まれた。

救｢失礼します。大倉さん？
分かりますか？大倉さん。
もうすぐ病院に着くので着いたら
すぐMRI撮れるように指示しておいたので
付き添っててあげてください。｣

信｢はい…｣

俺はその事をみんなにメールで知らせた。
もうみんなも向かってるらしい。
頼むから…大倉…助かってくれ…