悔いなき選択－調査兵と元ゴロツキ－ (ページ38)

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「…ぃっ…、おいっ！A！！！」

「…へっ！？」

「分隊長が音響弾を撃てと仰ったんだ！

あの3人がまだ近くにいるなら聞こえるはずだろ！」

すっかりボーッとしていた私に叫んだのはサイラムだった

「す、すみません！」

「いつ巨人が出てきてもおかしくない状況なんだ！

ちゃんと指示を聞いておけよ！」

「う、うん！ごめんサイラム」

大雨が降っていていつの間にか3人とはぐれたことに気付かなかった

どうしてボーッとしてしまっていたかはわかってる

ファーランの行動とリヴァイに言われた言葉が私の中で引っかかってるからだ

あの後も何回か班のみんなから離れて1人になろうとしたけれど

必ずファーランはどこにも行くな。とでも言うように私を引きとめた

何回目かで気付いたのは、私が1人になろうとするとリヴァイが付いてこようとしていること

たぶん、ファーランの代わりに私のことを始末しようとしてるんじゃないかって思った

そしてファーランは私を守ろうとしてくれて…

なんて、そんなわけないか。

.

しばらくすると近くから音響弾が鳴りファーランとイザベルと合流した

けど、

リヴァイが…いない

きっとエルヴィン分隊長のところに行ったんだ

それならきっと私もそろそろ…

この雨の中班から離れればきっと巨人に遭遇する

それならファーランの手も汚れない

きっとリヴァイは上手くやって戻ってくる

そうすれば3人の…

…ファーランのために……

班から離れようか、そう思いふと目を向けた先…

「ぶ、分隊長！！巨人が！右手前方に！！」

「なっ⁉クソッ！全員、立体機動に移れ！！」

「うわああああああ！！！」

「そんな！サイラム！！」

前方にいる巨人にばかり気を取られていた

すぐ近くから別の巨人の手が伸びてきてサイラムが捕まった

その横では霧の中から巨人の顔が現れ、驚いた馬が倒れてファーランの脚が下敷きになった

気付けば私たちの班は5体の巨人に囲まれていた

「サイラム！！動くな！今助ける！、

フロイヤ、私に付いて来い！！」

「了解で…」

「分隊長！来ては駄目です！今のうちに逃げてください！！

A、逃げろ––––––」バキッ

「ぁ…そんなっ…、」

サイラムが目の前で食われた

私が

考え事なんてしなければ

もっと周りに注意を向けていれば

こうなったのは、私のせい…？