悔いなき選択－調査兵と元ゴロツキ－ (ページ37)

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しばらくお互い何も話せなかった

たぶん一瞬だけど、とても長く感じた沈黙

そしてその空気に耐えられなかったのは

私の方だった。

「ご、ごめん…。

巨人に会って頭おかしくなっちゃったかな、

私が言いたかったのは仲間だからってことで、

だからさっきのあんまり気にしないでほしいっていうか…」

「…A、」

言い終わらないうちに呼ばれた名前

ゆっくりと隣のファーランに目を合わせたとき

とても近くに顔があって驚いてしまった。

そしてファーランの手がまた私の頬に触れる

今度は最初から両手で私の顔を包み込んだ。

「…え、なにっ、」

どんどん顔が近づいて来て

だけどこんなこと初めてだから私は動けなくて

「ファ、ファーラン…？」

固まっていたら少し顔を傾けてまた近づいて来る

「待っ…」

鼻と鼻が当たりそうになるとファーランは目を閉じた

何が起こるのかなんとなくわかってしまったから

それが触れ合う直前で私もゆっくり目を閉じた

その時、

「おい、そこで何をしてる」

「っ⁉」

「リヴァイ！？なんでここに！？」

「お前らを呼びに来た

それより答えろ、そこで何をしていた」

後ろを振り向くとそこにはリヴァイがいた

すごく、怒ってる

ファーランは、何もしてないとリヴァイに訴えているけれど

リヴァイは完全に私の方を睨んでいた

「チッ…もういい、戻るぞ」

腕を組みながら、顎で来た方向を示すリヴァイ

怖くて顔を見れなくて下を向きながら歩くことしかできない

「痛っ！は、離して…！」

リヴァイの横を通るときに

突然腕をもの凄い力で掴まれた

「リヴァイ！やめろ！何してんだよ！」

離してもらおうと抵抗すればするほど

ギシギシと骨が軋むくらい強く掴まれる

「い、痛いっ…やめ…！」

「ファーラン、お前は戻ってろ

…こいつに話がある」

「俺は戻らない！とにかくやめろって！」

「ならここで言ってやる

お前、何のつもりだ？

色目使って近付いて何を企んでやがる」

「私っ、そんなつもりじゃ…！」

「そんなつもりがないなら俺たちに近付くな、いいな」

そう言って勢いよく腕を離され

フラついた体をファーランが支えてくれたが

すぐにリヴァイの横へ行ってしまった

(色目なんて、そんなつもりないのに…)