悔いなき選択－調査兵と元ゴロツキ－ (ページ36)

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「ねえ、やっぱり今日おかしいよ

ファーラン、朝からぼーっとしてる…」

私がそう言うと

ファーランはまたも無意識だったのか

慌てたように私から目線を外し

謝ってきた。

そして、

「大丈夫、お前には関係ないから、」

私を安心させるかのように少し微笑んで

こう答えてくれた。

…私に関係ない？

そんなの、絶対嘘だ。

でも、本当は関係あるでしょ

なんて言えないから

「ほ、ほんとに…？

何か心配事とか、不安な事があるんじゃないの…？

ちゃんと力になるから。

もしリヴァイたちに言いにくいなら私が…！」

こう言うしかないんだ。

「A、大丈夫だから。

お前が心配することは何もないから、

何も、ない…大丈夫だから…」

私だけじゃなくて

自分にも言い聞かせているような

そんな言い方を私の言葉に被せるようにしてきた。

でも、と

食い下がろうとしない私をしばらく見つめたあと

はぁー、と深いため息を吐いて

「お前ってほんとにお人好しだよな

いや、単なるバカなのか、、

こんな時くらい自分の心配しろよな」

と、呆れたように

でも少し笑いながら

その場に座り込んでしまった。

「おっ、お人好しなんかじゃないよ、

誰にでもこんな風にしてるわけじゃ、ない…」

深呼吸を一度して

ファーランの隣に座ると

この言葉の続きを待つように

こっちを不思議そうに見ているのが横目にわかる。

でも、目を合わせられない。

これから言おうとしてるのは自分の気持ちだ

「わ、私はっ…、」

でも、そんなこと口に出したら

優しいファーランを困らせてしまう。

「誰かじゃなくて…、あっあなた、だから…っ、」

昨夜の決意を鈍らせてしまうんじゃないかと思ってしまう。

それなのに、

「ファーランだからっ…

だから心配してる…！

ファーランだから力になりたいと思ってるの…！！」

気付いたら、どんな意味かは簡単に察することができてしまう言葉を発していた。