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32*゜ ページ34

〜翌日〜



当たり前だけど、全く眠ることができなかった




味気のない朝食を食べ自分の馬にもエサを与える



馬を撫でながら思い出すのは昨夜のこと。





はぁ、とひとつため息を落としてから



「今までずっと一緒にいてくれてありがとう

もう今日でお別れだね…」



ここまで来れたのはあなたのお陰よ、と
馬の額に自分の額を合わせてみる




また涙が出そうになったが私の言葉をなんとなく理解したのかそれとも動物の本能なのか
私に擦り寄ってくれる




「ふふっ、くすぐったいよ」









「お、朝から楽しそうだな」





え、






後ろを振り返ると

そこにいたのはファーランだった




眠そうに大きなあくびをして
腕をあげて伸びをしながらこちらに歩いてきた





ふと辺りを見回すと誰もおらず、2人きりだと気付く




(やばい、泣くかも)





とりあえず、何か言わなければ…!



そうだ、挨拶しよう!





「ファッ!

ファーラン!!

おおおおおは、おは、」






彼の名前を呼ぶだけで声が裏返り
目を左右に泳がせながら
おはようの一言だって噛みまくってしまう



こんなんじゃ怪しまれる





もう一度、おはようと言おうとしたとき






ファーランが右手をこちらに伸ばしてきた。






殺されるっ、そう思って私は目をギュッと閉じた









でも、すぐに違うとわかった







彼の右手が触れたのは私の頭で



その手はゆっくりと私の髪を撫でるように下に向かい



そして頬に触れた。








びっくりしすぎて体が硬直してしまったが

恐る恐る目を開けてファーランを見上げる








「…え」






もっと驚いた






目を細めて

私のことを見つめている







お母さんがよく私にしてくれていた顔と似ている



とても優しい顔をしている




でも、お母さんの顔と少し違うのはどこか辛そうでもあるからだ。







どうしちゃったんだろう


そう思っていると彼は左手も私の頬に優しくそえた









…わけがわからない



男と女が近距離で向かい合って


その上男の方は両手を女の頰にあててるんだ




周りから見たらどう思われるか。








「ファーラン、どうしたの?」



そう言いながら彼の両手を優しく掴んで私の頬から離すと




無意識だったのか、ファーランは驚いたように自分の両の手のひらを見つめてから

謝ってきた







大丈夫だよ。

とだけ言ってこの場を離れたけど




大丈夫なわけ、ないじゃないか。

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にのちーず(プロフ) - 面白いです!更新楽しみにしております! (2019年11月10日 23時) (レス) id: 35b7b68c34 (このIDを非表示/違反報告)
カラ松ガール(プロフ) - うん…好き(唐突)更新頑張ってください! (2019年10月20日 10時) (レス) id: addc97a0c8 (このIDを非表示/違反報告)
黒猫 - 凄く面白いです!更新頑張ってください! (2015年4月8日 17時) (レス) id: 9b54271683 (このIDを非表示/違反報告)
優樹ノア(プロフ) - 続きが気になります更新頑張ってください (2015年4月5日 19時) (レス) id: 3f55194d4d (このIDを非表示/違反報告)
リヴァイ - 楽しみです! (2015年4月2日 3時) (レス) id: 015d85d53b (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:まるぶ | 作成日時:2014年11月2日 12時

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