御霊 柊【色が欲しい】 ページ1
「なんで俺には色が無いんだべさ」
これが俺の疑問。
生まれた時から真っ白で、色素がほぼない。目だって血液の色で化け物の様に赤い。
両親は俺を『化け物』『不良品』と呼んだ。神社の次期神主夫妻だと言うのに、 なんという言い様か。
赤子の俺に両親の嫌いな植物、柊の名前をつけて。
俺を祖父母に押し付けて。
次は神主にふさわしい子をと、2人目に励んだ両親。
嫌いだ
生まれた妹、
わざわざ神主邸の俺の所まで来て。
執拗にどこぞの失敗作じゃないいい子に育ちそうだと見せつけた。
その時、俺は5歳だったっけ。
「なんなのその名前は」
「その子に罪はないが、儂は絶対神主には指名せんからな。」
俺は祖父母が大好きだ。
両親と妹が帰った後、抱きしめられて。
泣かれた。
「
「お爺さんのお父上も、アルビノだったというのに」
この時、既に幼稚園ではいじめが始まっていた。先生なんて役に立たなかった。何をされても「しょうがない。そんな見た目なんだから。」で終わる。
苦しい。悔しい。
でも、祖父母を心配させたくない。
表情を取り繕って、笑顔になる。引き攣る表情筋をフル稼働させる。
「大丈夫。僕、幼稚園にお友達がたくさんいるから！」
ごめんね。
ほんとは友達なんて1人もいないんだ。
でも、じいちゃんとばあちゃんに笑って貰うには、嘘も方便だって許してよ。
押し殺された声が喉に木霊する。
張り詰めた筋肉が表情を変える。
誰にも疎まれない、色の付いた存在でありたかった。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
