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貴「…座られたらどうですか？」
静かにそう言って彼女はスッと椅子を差し出した。
「あ、あっ、ありがとうございます！」
クビにされると思い込んでいた僕は、意外な言葉に少し戸惑いながらも差し出された椅子に浅く腰掛けた。
貴「…ねぇ、どうして家に来たの？」
「え？」
貴「だって、ここ以外にも仕事場は沢山あったでしょう。…噂、聞いていませんか？」
彼女は言いにくそうに、しどろもどろさせながらも僕に質問をしてくる。
「噂って、心を開いてくれなさすぎて執事が辞めていくっていう？」
貴「ええ。辞めていったのも、私が心を開かなかったのも事実よ。…だけど、あの執事達には欲があった。それがあからさまに見えてしまったから」
「欲、ですか？」
「…ある人達はこの館にある財産目当て、ある人達は私の身体目当て、また、ある人達はここの跡継ぎを狙っていた。そんな人達ばかり。
…人を信じたら、裏切られる。信じるのが怖くて、信じる自分が愚かだったんだと気づいたの。
世の中の大人が、こんなにも汚れきっていたなんて…」
そう呟いた彼女はとても淋しそうな表情を浮かべ、ただただ、遠くの空を見つめていた。
僕はお嬢様の事をこれから沢山知らなければいけない。 彼女をこれ以上傷付けたら絶対にいけない。 そう、直感的に感じた。
なにか…なにか言わなきゃ
「…お嬢様！"コンコンッ"
僕の言葉をさえぎるようにしてドアをノックする音が重なる。
タ「ご夕食の準備が整いました」
貴「…ええ、今いきます」
「…お嬢様？」
少し悲しそうに、だけど強い希望を持ったその瞳でお嬢様の目を逸らさずにじっと見つめる。
貴「はい？」
「大丈夫ですから、絶対に大丈夫ですから！」
貴「…ご夕食です、参りましょう」
僕の言葉を聞き流すように呟き、
寂し気な笑顔のまま彼女は部屋を出て行った。
手にぐっと力が入る。
これから先、何があってもお嬢様を守らなあかん。 僕に出来る事を精一杯やろう、そう思った。
一人残された部屋で僕は、自分の顔を気合いを入れるようにペチペチと叩き、お嬢様の後を追った。
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みーこ(プロフ) - 渋谷ともか(・＿・｜さん» わぁ！コメントありがとうございます！ 小説って難しいですね(°_°) そんなことを言っていただけるだけで嬉しいです！！泣 これからも渋谷ともかさんの作品、読ませていただきます♪ お互い頑張りましょう！ (2014年3月30日 3時) (
レス) id: 6003cdd699 (このIDを非表示/違反報告)
渋谷ともか(・＿・｜(プロフ) - コメントありがとうございました！小説とっても面白いです！間違って、評価9,0にしちゃいました(´д｀|||)ごめんなさいm(__)mもぅ、10点満点です(笑) (2014年3月30日 2時) (レス) id: 077a371072 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：みーこ | 作成日時：2014年3月16日 22時
