彼に恋人も難しい２【牛島若利】

私とチーム。 ページ15

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インターハイ予選大会の決勝戦。
仙台市体育館で男子と女子の決勝が行われた。



貴「………」



結果は今までと変わらず。
男子は白鳥沢vs青葉城西、女子は白鳥沢vs新山女子。
そして私たちはまた、新山女子に負けた。
男子たちは危なげなく徹たちに勝利して全国への切符を勝ち取っていて、それも相まって私は悔しくて悔しくて、たまらなかった。

表彰式後、私たちは廊下で周りから見てもわかるほど暗い空気が漂っていた。



「………んで」

貴「…せん、ぱい？」

「なんで？なんで、勝てないの…」



先輩たちも悔しさから涙を滲ませていた。
それを見て場違いだけれど私は少しだけ嬉しく思う。
悔しいと思っていたのは自分だけではなかったのだと、ちゃんと先輩たちも勝ちたいとそう強く思っていたのだと、知れて。

でもその喜びはすぐに突き落とされる。



「Aのせいじゃないの？」

貴「えっ………？」

「あんた、前に私たちが言った言葉が気に食わなくてちゃんとやらなかったんじゃないの、セットアップ」



言ってる意味がすぐには理解できなかった。



貴「え…え？先輩たち、何言って…」

「そうなんでしょ、どうせ」

「ユース候補に挙がる奴がセッターなのにスパイク決まらないなんてあたしたちに本当に最高のトス、上げてたの？」



上げていたに決まってる。
私がバレーで手を抜くなんてことは今まで何年と続けてきたバレー生活で一度だってない。



貴「…私が、手を抜いた…？バレーで？

しかもこんな大きな、大会で？」

「そうじゃないならなんで私たちはあいつらに勝てないのよ！！毎度毎度！！

頑張ってるのに！勝てない！」

「本当にセッターとしてあたしたちに全力でトスあげてるの！？！？」



怒りで腹の底がグツグツと煮えたぎる思いだ。
ここにこれ以上いたら、私は先輩たちにいらないことまで言ってしまう。

ならここから早く離れないと。
そう思って私は早足でそこから逃げるように踵をひるがえす。
でもそれが先輩たちには図星だと捉えられたようだった。



「図星だからって逃げるのね！！」

「あんたのせいであたしたちは負けてるのに逃げんの！？」

貴「っ！」



逃げる！？私が！？

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