Sorry Sorry Love

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海辺に出された縁日の金魚掬い。

赤い尾鰭を追いかけながら。


「のんちゃん、彼女いる？」


花梨に聞かれた。


「おらんよ」


「なら、好きな人は？」


「なんで、そんなこと聞くん？」


藤井先輩への気持ち、バレてしもてるんかなって、
不安になって、変な返ししてしもた。


「私、のんちゃんのこと、好きだから」


思いも寄らぬ、
ほんま、青天の霹靂の返事が返ってきてしもて。

焦って、網、破ってしもた。


花梨は、藤井先輩のこと好きやと思い込んでた。


「のんちゃんは？好きな人いるの？」


「ごめん、・・・」


「最近、雰囲気変わったのは、その人の影響？」


「多分」


「のんちゃんが、遠くなっちゃった気がして。
寂しかったよ。
私だけが知ってるかっこいい子でいて欲しかったのになあ」


「俺、人見知りやから、
ガイダンスの時、花梨から声かけてくれて嬉しかった」


「うん」


「花梨のことは大事な友達って思ってる」


「ん、ありがと！それだけで充分。
好きな人のとこ、行って来ていいよ」


「え・・・？」


花梨の視線の先には、
先輩女子に囲まれた、藤井先輩の姿。


「あの中には入られへん、俺」


「勇気出して！
私も勇気出したんだから！」


花梨に背中叩かれた時、
藤井先輩が不意にこっち見てん。


視線が合いかけて、慌てて逸らしてしもた。


何やってんねんて、俺。


意識してます！って、

身体中で言うてもうてるやん。


立ち上がりかけたら。


「小瀧！小松！
なんか食べへん？」


みんなに呼ばれてしもた。





藤井先輩は、相変わらず、
みんなに囲まれとって。

話しかける隙なんてないねん。


ちょっとでも、
お祭りデート気分味わいたかったのに。


一番美人の綾先輩が、
藤井先輩の腕につかまったん見えて。

目を逸らしてしもた。


「お兄ちゃん、何味する？」


屋台のおっちゃんに声かけられて、はっとなる。


レモン、いちご、メロン、ブルーハワイ、練乳、


迷ったけど、


「いちご」


そう答えた。

その時。


「俺はブルーハワイで」


少し掠れた声がして。


すぐ隣に藤井先輩が立っとった。


出来上がったかき氷、受け取ると。

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