Sorry Sorry Love

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愚痴りつつ傘を開いた俺の隣で。
藤井先輩は、


「望、入れてや。
傘、失くした」


また言うてる。


「またなくしたん？
朝持って来たんやろ？」


藤井先輩って、ほんまよう物失くすねんて。


「傘立てにさしてたのに、
ないねんもん、
誰か間違えて持っててんわ。
ええやん、入れてや」


「それはええけど・・・」


ほんまは、困るねん。

そんな近い距離。


嬉しい分、
気持ち、もう言葉になって、
溢れてまいそうなるねんもん。


好き


なんて伝えんの、


どんだけ勇気ある人なんかと思ってた。


違うねんな。


こぼれてまうもんなんやって。


初めて知った。


泣きたいぐらい、藤井先輩が好きやから・・・


「望、ちゃんと入り。
望の傘やねんし」


「うん、そやけど、藤井先輩、濡れるし」


ドキドキドキドキ。


「ほなら、こうしよ」


傘に隠れて、藤井先輩が俺の肩をぎゅっと抱き寄せる。

もう壊れるかもしらん・・・


大学と目と鼻の先に、
藤井先輩の住むマンションがある。


何回か遊びに行ったけど、
俺の住んでる学生寮とは段違いのええ部屋。


「既にずぶ濡れやな。
うちのが近いから寄ってき。
雨止むまでおったらええし」


当然みたいな口ぶり。

そばにいられるのが幸せなくせに、苦しい。


うなづいた時。


「流星くん！」


そんな声がして・・・


ずぶ濡れの、
ひと目見て目を惹く美人の女の人が、
こっちに駆け寄って来てん。


「みほ、どうしてん、」


真っ白なワンピースは雨に濡れて、
下着まで透けてもうてて。

目のやり場に困る。


「部屋あげて。
財布と家の鍵、落としちゃったの。
着替えも持ってなくて。
困ってたんだけど、
流星くんの部屋、近かったの、思い出したんだ」


元カノ。

そう考えるのが自然やんな。


俺、邪魔やんな・・・


「この子は？後輩くん？」


俺に向かって、にこって笑いかけてくる。


けど、その瞳の奥にある、鋭くて冷たい光、感じた。


「僕、帰ります。
藤井先輩、また明日」


その場から逃げ出す。

自分の学生寮とは反対の方向に向かって走り出してて。

今更、引き返されへんから、
仕方なく、大学の方へ逆戻り。

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