ひとめぼれ ２

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もう２１時回っとるし、
重岡さん、疲れとるよな。


素直にならへんかったのに、

重岡さんから、
迎えに行くって言ってくれた。


そんなん言うてくれるなんて思ってなくて。


胸がきゅうって締め付けられる。

気持ちだけで嬉しかったけど、

会いたくて。


お店のリンク送っちゃった・・・










騒がれたらあかんし、
近くで合流するとばっか思てたのに、
重岡さん、みんなの前に現れるねんもん。


ほんまはな、みんなに自慢したかってん。


こんなカッコええ人が、
俺のこと必死で追いかけてくれてんねんで、

もうすぐ、俺の、彼氏になる人、なんよ、って。


それは妄想だけに留めておく。


彼氏になるかどうかは決まったわけちゃうもん。


大事な友達にも内緒の関係。


その他、いろいろ制約もあるやろし、

俺、ええ恋人になられへんかもしらん。


重岡さんに迷惑だけはかけたくない。


重岡さんの車は、おっきな外車で、

乗せてもらう度、

俳優さんなんやなあって思い知らされる。


車が発進して、角を曲がる時、健人の姿が見えた。


あんな切ない表情、初めて見たかもしらん。


健人の気持ちは、

本気やって、

感じる事あるねん。


けど見いひんふりしてきた。


友達でおりたいから。


せっかく誘ってくれたけど、
仕事の話は断るしかないって思う。



「神山くん、お茶でもしてく？
やっぱ疲れた？
真っ直ぐ帰る？」


まだ離れたくない。

丸一日中、待ち焦がれてた相手に、
出会えたばっかりやねんもん。


それは虚像の重岡さんで、
目の前の重岡さんに幻滅でも出来たらええのに。


「えっと・・・
重岡さん、疲れてないなら、
ちょっとだけ、」


「ん？どっか行きたいとこあるん？」


言うん、恥ずかしい。


遠回りしたいって。

ただそばにおりたいだけ・・・


「えっと、何でもないです」


「何でもなくないやろ。
困った子やな」


重岡さんの横顔を盗み見る。


綺麗な顎のラインに釘付けになってたら、

信号赤になってたみたいで、

急にこっち向かれて、しゃっくり出そうんなった。


「当てよか？神山くんの行きたいとこ」

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