ひとめぼれ ２

エピローグ ページ48

赤side


念願の脚本主演を務めるドラマの撮影が始まった。


スタジオの探偵事務所の一室のセットに、
スタンバイする。


ユリ役の女優さん、
鶴丸美帆さんがドアをノックする場面から。


探してた迷い猫を抱っこして、
タケシのところに依頼に来るねんけと・・・


美帆さんが抱いてた、
タレント猫のあずきちゃんが、

また、逃げ出した。


あずきちゃんは、なかなかに手強い。


スタジオ中を走り回って。


どこにも見当たらへん。


「あずきちゃーん！」


スタッフ総出で探し回ってたら・・・


「あずきちゃん、見つかりました！」


聞こえてきたのは、

確かに、ともの声よな？


あずきちゃんはって言うと、


セットの屋根の上で、のんびり、

ミャアなんて鳴いとる。


「あずきちゃん、降りておいで」


ともが手を広げると、

髭をピクピクさせてから、にんまり笑て。


ストンっと、器用にともの腕の中に降りて来た。


美帆さんの専属メイクさんが、
とも、なんて、聞いてなかって。


俺は驚くばっかり。


今朝まで一緒やったのに、
内緒にしとったやなんか。


ほんま、この子は。


俺のメイクも頼みたいのに、
そこは公私混同あかん、断られるし。


あずきちゃんを抱くともが、微笑む。


その姿は、美帆さんより、ユリそのもの。


当たり前か、ともがユリのモデルやねんから。



一年前、ひとめぼれした、
あの日の俺の直感は当たってた。


その証拠に、
今日の俺も、恋人の姿に釘付けで。


これはもう、何度目惚れになるんかな。


大好きは、明日も明後日も更新されてく。



君だけに。
　












ひとめぼれ。




終わり。

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