ひとめぼれ ２

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お蕎麦、はふはふ言いながら食べてる姿に釘付け、


こっそり見てたつもりやのに、

視線、バレてもうた。


「ん？俺、顔に付けてる？
あ、冬やのに汗だくやから？
ごめん、汗っかきで」


「あ、ちゃうねん、美味しそうに食べてくれるから。
嬉しくて」


それも嘘ではないけど、

ほんまは男っぽい表情に見惚れてただけ。


「ほんま美味いもん。
人生で一番幸せな年越しや」


「大袈裟やな、もう」


「神ちゃんは？
いつもどんな年越し？」


「大体、実家に帰ってるかな」


「恋人と過ごしたことある？」


「え、」


「あ、今のはなし！」


重岡さん、焦ってて可愛え。


「・・・ないよ。
いうか、男の人と付き合うのも、
重岡さんが初めて」


重岡さん、にたにた笑ってる。


「神山くん、今、俺と付き合うって言うたな？」


「あ・・・」


恥ずかし。


「俺ら、付き合うてるねんな！
恋人やな！」


「何回も言わんとって。恥ずかしいから」


「嬉しいねんもん。
なあ、男と付き合うん初めてって、 ほんまに？」


「うん、ほんま」


照れてきて、慌てて、俺も蕎麦と向き合う。


緊張してきて、味、分からへんなってきた。


「・・・俺も。
男の子は神山くんが初めて」


「そうなん？」


「うん」


ちらっと、こっち見て、探るような目をするん、ズルい。


「でもいっばい彼女おったもんな。
なんせ、人気のイケメン俳優さんやもん」


「イケメン言うてくれた！」


「そこちゃうやろ」


「神ちゃんこそ。
観覧車の彼女以外にもいっぱいおったやろ？」


「知らん」


「うわ、妬ける」


妬けるもなんも、そんなおらん。

その子とも、大したことしてへん。


告られて、何回かデートしただけや。


それからも、

女の子と付き合うても、


なんか言いようのない違和感感じてばっかりやった。


重岡さん、俺のこと、
多分、勘違いしてる。


「茶化さんといて・・・」


重岡さん、本気で嫉妬なんかしてへんもん。

俺ばっかり、過去にまで・・・


「茶化す？て？どういうこと？」


「別に何もない・・・」


どうしよう。


自分の気持ち、上手く言われへん。


もうすぐ、年越し。

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