ひとめぼれ

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「それ、・・・褒めてますか？」


「当たり前やん！
なあ、子供の時からオシャレさんやったん？」


「まあ、オシャレは好きでした」


「ちっこい頃から、ヘアメイクさんなりたかった？」


「そういうわけでもないですけど、
物心ついた時には、
ファッション関係の仕事に就きたいなって思ってました。
重岡さんは？
ちっちゃい頃から目立ってたんですか？」


「まさか！
幼稚園の時、俺、土壁の役やってんで？
将来なりたかったんは、グミ！
いちご味のな！
初めて食べたグミが美味過ぎて、
頭おかしなってたんかも」


「はあ？なんすか、それは」


神山くんの顔が綻んだ。


「やっと笑た！良かったあ・・・」


「・・・俺、そんな落ち込んでました？」


「うん、地面にめり込みそうやったで？
なんかあったん？
あ、話したくなかったら、言わんでええけどな」


藤井さんとの痴話喧嘩なんか聞かされたら、
結構きついしな。


「過去最大級の自己嫌悪に陥ってました。
俺、最低やから」


「なんでやねん、神山くんは最高やで！」


あっ、また失言してもうた。

けど、神山くんは笑顔のまんま。


「重岡さんて、面白いですね」


「ありがとお！よく言われるで！
神山くんは優しくて可愛ええ」


「僕、優しくなんかないです。
意地悪して人を傷付けて。
僕じゃあかんて分かってんのに。
どうしてもどうしても、諦められへんかって。
見せつけたり、して」


それって、藤井さんとのキスのこと？

小瀧、泣いてた・・・


「諦め悪くて、しつこくて、最低なんです」


もう泣いてまいそうやねん。

どうにかして、慰めたい。


「それ、俺もやで？
人好きになったら、みんなそうちゃうかな」


「えっ？重岡さん、好きな人いるんですか？」


「ほんま失礼やな、自分。
俺にかって好きな人ぐらいおるわ」


「いや、彼女いないって、
マネージャーさんから聞いたんで。
人気俳優さんが、
俺なんかにそんな個人情報漏らしてええんですか？」


淳太が、俺がフリーやってこと、
散々アピールしてくれとったもんな。

この子には、その意味、全く通じてへんみたいやけど。


「ええの、やって、
俺の好きな人、神山くんやもん」

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