偽り笑って 5【3年A組】

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「自分の親や、友達に面と向かって言えない言葉をっ、見ず知らずの他人にぶつけんなよ……っ。


お前のストレスの発散で他人の心をえぐるなよ……
分かるだろ俺の言いたいことっ！！！

お前らそこまで馬鹿じゃねぇだろッッ！！！！



……気づいてくれ…」





それは、柊の心からの叫び。
いや、祈りとも取れるなにかだった。

必死に紡いできた言葉の一つ一つが、じわじわと…心の奥に染み渡っていくような感覚だ。





「…いいか！！

マインドボイスは、誰もが気軽に繋がれる便利なツールだ。気の合う友達を見つけて、いつでもどこでもコミュニケーションが取れる。

人によっては、心の拠り所になるだろう、それも大切だ！…否定はしない。


……けどっ、その一方で恐ろしい暴力装置にもなり得る……！！


言葉は、時として凶器になる。
ナイフ何て比にならないぐらい、重く、鋭く、心をえぐって来る…っ……」





その言葉に傷つけられた人が何人いたか。
何気なく言葉を放った本人は知らない。

言葉は時に人を救う、しかし一方で……人を傷つけていくのもまた言葉だ。





「だからッ、刻んで欲しいんだよッ！！！


右に習って吐いた何気ない一言がっ、
相手を深く傷つけるかもしれないっ！！


独りよがりに、偏った正義感が…束になることでいとも簡単に人の命を奪えるかもしれないってことをっ！


そこにいる君に…っ！！
これを見ている貴方に…ッ！！！

一人一人の胸に刻んで欲しいんだよ……っ…



他人に同調するより、他人を貶すより…っ、
まずは自分を律して！！

磨いて作っていくことが大切なんじゃないのか！！？


…ってかそっちの方が楽しいだろ！！？



その目も、口も手も、誰かを傷つけるためにあるわけじゃないっ！！！

……誰かと喜びを分かち合うためにっ、
誰かと幸せを噛みしめるためにあるんじゃないのか…っ！！？


……そうだろう！！？


もっと人に優しくなろうぜ……！！！
…もっと自分を大事にしようぜ……！！！！」





必死に、ただ必死に訴える。
人を動かすのは…決して力じゃない、いつだってその人の言葉が、そこに込められた心が人を動かしていくのだ。

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