映画の予告 ページ17
「何か食ったらどいてやるよ。」
クロは私にそう言った。
私は正直、寝かせて欲しかった。
「さては寝かせろって思ってんな？」
「うぎ…バレた。」
私は少し、落ち込む。
そんな時、隙あり、とばかりにクロがニヤッとした。
よいしょ、とクロに抱えられて、クロが座っていた隣に座らせられる。
その隣の椅子には研磨が座っていた。
クロが「どれがいいかな」と呟きながらご飯を選んでいる間、研磨がちらちらと私を見ていた。
完璧に逃げられない事を静かに悟る。
「ほれ、これ食ったらいいぞー。」
とクロが持って来たのは、少し小さめのお弁当、とパンと野菜ジュース。
少し小さいお弁当だけならクロの優しさは優しいと思ったが、パンを持って来たあたり、やっぱり優しくないって思う。
私は渋々、お弁当を開ける。
小さくだけど、一口づつ、具を、ご飯を、口に運んだ。
「…Aが食べてる。」
「…そんな驚く？」
私はすっかり隣にクロがいるのを忘れて研磨と話す。
ゲームの話、学校の話、部活の話、家族の話。
「…わかってるんだけどさ、外、出られないんだよね…。
…家で全てが成り立てばいいのに。」
と、言った。
具が喉を通らなくなってきた。
「…学校、やめようかな。」
ぽつんと、噛み締めるように、ゆっくりとそう言った。
その時、クロが突然
「やめんなよ。」
って、確かにそう言った。
私はビクッとして慌てて、
「ごめん、ごめん。嘘だよ。
辞めても、やることないし。」
私は、そう笑った。
でも、内心あと1年も2年も耐えられる気がしなかった。
家に入った虫を追い払うように、あのクラスで私はそんな存在なのだ。
ゴキブリみたいに自分自身が性転換して、仲間を増やせるわけでもない。
あのクラスで私は絶対的な孤独だった。
「…そうか。」
と、クロはまたテレビに視線を向ける。
私も何となく、テレビを見る。
すっかり、箸は止まっていた。
私は2人と番組を見ながら、笑ったり、話したりした。研磨はあんまり笑ってなかったけど。
その時、流れた映画の予告に私は反応する。
「この映画さ、面白いらしいよ。
幼馴染が死んじゃって、後悔を無くすために必死で過去に戻ってやり直すんだって。」
と、言った。
クロは「ふーん」としか反応しなかった。
まあ、興味ないか。クロだし。
「…明日、もし私が死んだらどう思う？」
と、2人に聞いてみた。
別に死ぬ予定はないんだけどさ。
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あ - 内容がすごいわかりやすいです。続き待ってます (2020年5月7日 22時) (
レス) id: 2b1a6cecc8 (このIDを非表示/違反報告)
hitoesasami(プロフ) - kajjjenさん» 読んで頂き本当に感謝です…！！それに面白いなんて言って頂けて嬉しいです…！！応援、ありがとうございます、更新頑張ります！！ (2020年4月6日 17時) (レス) id: 41b3c0e585 (このIDを非表示/違反報告)
hitoesasami(プロフ) - 清川さん» 全然わかりやすいっすよ…！！そしてな、なんと！！？？そんな…嬉しすぎます…！！頑張ります！！本当にありがとうございます！！嬉しすぎて…(´；ω；｀) (2020年4月6日 17時) (レス) id: 41b3c0e585 (このIDを非表示/違反報告)
kajjjen - コメント失礼します！初めてこの作品を読ませてもらいましたが本当に面白いです！応援してます(^^) (2020年4月6日 9時) (レス) id: 6e12a7e235 (このIDを非表示/違反報告)
清川 - hitoesasamiさん» 俺、文作るの下手だから、伝わってよかった^^ログイン出来てないからお気に登録できないけど、ログインしてたら絶対お気に登録してた。しかも俺の中で☆100くらいついてるw頑張れ (2020年4月1日 20時) (レス) id: bdf93be9d6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：hitoesasami | 作成日時：2020年3月26日 3時
