理想のままで【HQ】

理想のまま ページ2

「A、今日も行かないの？」


そう、扉から研磨の声がした気がする。
寝ぼけているから、多分していないのだろう。
いや、したのかもしれない。
もし、声をかけてくれていたら申し訳ないから「行かない」と答えた。

バタン、と扉が閉まる音。
階段をゆっくりと降りる音。
幼馴染みだけど、ここ数ヶ月いや、1年近く会っていないクロの声。
どれも、馴染むことができない生活だ。
虚しくなるから、気にしないようにした。

だけど、少し気になって私はカーテンの隙間からチラッと学校に向かう研磨とクロを見る。
ぱっと振り返った、研磨とクロと目が合った。

私はドキッとして、そこまで開いていないけどカーテンを勢いよく閉めた。
心臓が、バクバクとする。
なかなか、止まらない。
深呼吸をして、抑えようと頑張っている時


「A、起きてるの？」


「いい加減、学校に行きなさい。」




と、母の声がする。
その度に私は、こんな弱くてごめんと、思う。


わかってる。変わらなきゃダメなのは。
だけど、私が最低限できることは出席日数を最低限クリアして、テストだけ参加して適当に点数を稼ぐ努力をするしかできない。

それだけしかできない。


どんだけ頑張ってもみんな、裏切るんだ。

それで自分が正しいって、嘘ついてでも周りに言いふらして、私が悪いって言いたがる。



どうせ、私が1人居なくても、世の中は成り立つ。

もうたくさん頑張ったし、もうたくさん人も傷つけたし、もういいんじゃないかな。



それに、弱みを見つけられたら失望されちゃう。


たった1人の幼馴染くらい、前の頑張ってた私の記憶で終わらせたい。


今では理想となった、昔の私のままで。

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