遺品整理 ページ44
パッと、目が覚めた。
月明かりが眩しかった。
目を擦り、月をじっと見る。
はっと、あることに気がついた。
車から降りた記憶がない。
さらにいえば、家に帰って、どんな流れで過ごしたのかの記憶がない。
もしかしたら車で寝てしまってそのまま車から降ろされてベッドに寝かしてくれたのかもしれない。
そんなことを思いながら、ベッドから体を起こす。
パッと、机に置いていた鏡が目に入る。
真っ白な月灯りにに照らされた、青い目と、白と黒の髪。
そういえば、学校はどうするんだろうか。
こんな髪と、こんな目で行って何も言われないだろうか。
カラコン…とかあった気がしない。
…あ、でも一時期、視力落ちた時に買ったのがあったかもしれない。
落ちたのを機に、オッドアイとかに憧れて買ったコンタクトの中に、間違えて茶色、前の目の色と同じ色のコンタクトを買ったやつがあったはずだ。
髪の毛は別に注意されないだろう。研磨がされていないのだから。
私は電気をつけて机に入れていたコンタクトを探した。
そして、机の上に出しておいた。
ついでに、時間を見る。
短針は2時を指していた。
歯磨きだけして、もう寝よう。
そう思って私は下に降り、歯磨きを済ませてくる。
手すりにつかまりながら2階に上がる。息切れがすごい。
ふう、と背中を反り、部屋に向かって歩く。
部屋に入り、真っ先にスマホのアラームを少し早めに設定した。
朝風呂に入らないと流石に汚い。
そして、電気を消してベッドに潜り込む。
目を瞑らなくても、視界が暗くなる。
余計なことが頭を駆け巡る。
力とか弱い人は捨てられる。
他人に弱い人も捨てられる。
自分に弱い人も捨てられる。
なら、捨てられればいい。
今日の車での研磨の発言が本当で、もしもそれが成功していなくてもクロに捨てられることは、クロの負担を減らせる。
それに、クラスで孤独にされる原因を一つ消せる。
そう思うことにした。
そう思わないと、クロから捨てられるのが怖くて怖くて仕方なくなる。
自分が望んだ孤独なら、病気も喜ぶわけがない。
私はクロからの独立を望んでいるんだ。そうだ。
望んでる。
それに、私はどうせ死ぬんだ。
自分で死のうとする人が、周りの人との縁を切るように。
私はクロとの縁を切ることが、いつかすることになるであろう遺品整理の一つだ。
そう、言い聞かせた。
本当は一緒にいたいって思ってる声が聞こえないように。
蓋をするように、言い聞かせる。
100人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「ハイキュー」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
あ - 内容がすごいわかりやすいです。続き待ってます (2020年5月7日 22時) (レス) id: 2b1a6cecc8 (このIDを非表示/違反報告)
hitoesasami(プロフ) - kajjjenさん» 読んで頂き本当に感謝です…!!それに面白いなんて言って頂けて嬉しいです…!!応援、ありがとうございます、更新頑張ります!! (2020年4月6日 17時) (レス) id: 41b3c0e585 (このIDを非表示/違反報告)
hitoesasami(プロフ) - 清川さん» 全然わかりやすいっすよ…!!そしてな、なんと!!??そんな…嬉しすぎます…!!頑張ります!!本当にありがとうございます!!嬉しすぎて…(´;ω;`) (2020年4月6日 17時) (レス) id: 41b3c0e585 (このIDを非表示/違反報告)
kajjjen - コメント失礼します!初めてこの作品を読ませてもらいましたが本当に面白いです!応援してます(^^) (2020年4月6日 9時) (レス) id: 6e12a7e235 (このIDを非表示/違反報告)
清川 - hitoesasamiさん» 俺、文作るの下手だから、伝わってよかった^^ログイン出来てないからお気に登録できないけど、ログインしてたら絶対お気に登録してた。しかも俺の中で☆100くらいついてるw頑張れ (2020年4月1日 20時) (レス) id: bdf93be9d6 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:hitoesasami | 作成日時:2020年3月26日 3時