空腹と記憶と唯一の ページ18
どのくらい経ったのかわからない。
限界を超えた空腹が、私をおかしくしたのは確かである。
何故か、この現状が。
ふとした瞬間、懐かしさを感じたのだ。
その瞬間、私から痛みが消えた。
そして懐かしさを私は、じっくりとじっくりと思い出していた。
チョコが溶ける様にじんわりと、
蜂蜜が垂れる様にゆっくりと、
珈琲を蒸らす様に、じっくり、と。
私は、夢に縋ることなく思い出す。
嘉納から受けた
アオギリの樹の中でも拷問を受けていたことを。
嗚呼、その時だ。
私が鱗赫を手に入れたのは。
アオギリの樹にもマッドサイエンティストがいた。
そいつは、白髪の隻眼の彼に殺された。
私は整わない衛生環境の中で
嘉納から受けた手術の真似事を受けた。
その時に、私は彼に楽しく実験され遊ばれた。
鱗赫の再生の速さや、痛みにどれだけ耐えられるか、空腹でどれだけ再生能力が劣るのか。
でも突然、ある日梟が私を認めてアオギリの樹の下で働かせた。
しかし、代わりに私はその日から赫者という仮面を被ることになってしまった。
異常な喰種かつ赫者
この地下の孤独も、辛さも、アオギリと一緒だ。
私の中で納得がいった。
しかし、ひとつ私の中で引っかかる事があった。
何かもう一つ、あっちの世界で大きな出来事を私は起こしている。
それがさっぱり思い出せない。
私はそのことを考えながら彼の、拷問さんの遊びに付き合うことにした。
痛みが身体中を走っても
足をばたつかせるなんて
みっともない姿を晒すことはなくなった
痛くて叫ぶなんて
みっともない姿を晒すわけがない。
しかし、私はわざと彼にその姿を見せる。
私の中で最早、彼の実験はちゃっちく下らないことになっていた。
私は地獄に慣れきってしまった。
でも、精神的疲労などは全く治ることはなかった。
考える事が唯一の、私が何処かへ飛んで行かなくなる唯一の方法だった。
考えなければ、無理やり落ち着かせなければ私はまたその過ちを犯すことを自分で分かっていた。
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hitoesasami(プロフ) - 珈世さん» >>また、他にも評価が高い作品が多い中で、この作品を読んで頂きありがとうございました。 少しでも楽しませられたら幸いです。 本当にありがとうございました (2020年2月20日 7時) (
レス) id: 41b3c0e585 (このIDを非表示/違反報告)
hitoesasami(プロフ) - 珈世さん» ご指摘、ありがとうございました。本当に助かります…orzすぐ、誤字や誤った設定をしてしまう癖があり、誤字などがある作品の印象って悪くなると思うんです…。なので、珈世さんのような方がいらっしゃると本当に助かりますorz >> (2020年2月20日 7時) (レス) id: 41b3c0e585 (このIDを非表示/違反報告)
hitoesasami(プロフ) - Nightさん» >>また、文ストと混ると言うことは、文ストは好きだけどグロは苦手、と言う人も読めるような、マイナスな印象を与えず書けていたみたいで良かったです。 最後になりますが、他にも引き寄せられる作品がある中で読んでいただき本当にありがとうございました。 (2020年2月20日 7時) (レス) id: 41b3c0e585 (このIDを非表示/違反報告)
hitoesasami(プロフ) - Nightさん» Nightさん、コメントありがとうございます。内容を好んでいただけて、本当に嬉しい限りです…昇天できます…。それと、文ストと混ぜる、そして文ストの世界に転生する夢主が喰種という不思議な設定が上手く惹きつけられる要素になっているようで安心しています…orz >> (2020年2月20日 1時) (レス) id: 41b3c0e585 (このIDを非表示/違反報告)
hitoesasami(プロフ) - 夜雨ナナトさん» >> 最後になりますが、数多くの作品の中でこの作品を読んで頂きそして、応援していただき本当にありがとうございました (2020年2月20日 1時) (レス) id: 41b3c0e585 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：hitoesasami | 作成日時：2020年1月15日 0時
