ひと駅の恋（Nozomu.K） (ページ37)

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＊37駅目＊ページ37

私はみんながいる個室に戻ると
あっくんに

"今日はもう帰る"

"お金はここに置いてく"

それだけ伝えて、サッとカバンを掴んで個室を出た。

ー早くこのお店から出ないと…

頭ではそう思ってても

止めどめなく溢れてくる涙に
私は1歩も動けずにいた。

"Aちゃん？？"

優しく私の名前を呼ぶ声が聞こえて振り返ると

心配そうに見つめるあっくんがいた。

私は慌てて涙を拭い

『あっくん？？どうしたの？？』

自分でも下手くそだってわかる作り笑いをして
どうにか泣いていたことを誤魔化そうとした。

照｢それはこっちのセリフやで。

大丈夫か？？

泣いてたやろ今。｣

わかってはいたけど

やっぱりあっくんには隠せない。

『も…大丈夫…だから…。』

私の言葉とは裏腹に

目から零れる涙。

照｢大丈夫じゃないやんけ。｣

あっくんはそっと私の涙を親指の腹で優しく拭ってくれた。

その優しさにまた涙が溢れる。

するとあっくんは私の涙を見て

そっと、ふわっと、優しく

抱きしめた。

そして、小さい子をあやす様に
私の背中をトントンし始めたあっくん。

あっくんのトントンは心地よいリズムで刻まれ
だんだんと私の心も落ち着いてきた。

『あっくん…ありがと。

もう涙も止まったし、心も落ち着いたから
もう大丈夫だよ。』

そう言ってあっくんから離れようとしたら

今度はぎゅっと抱きしめられた。

『あっくん？？』

照｢俺、Aちゃんのことが好きやねん。

俺じゃアカンか？？｣

私を抱き締めたまま
そう言ったあっくん。

あっくんの気持ちに全然気付いてなくて

突然の告白に驚き、戸惑った。

『え…？？』

照｢すぐに答え出さなくてもええから

考えてくれへん？？｣

『う…ん。

わかった。』

私がそう言うと

ぎゅっと抱きしめられていた私の体が
あっくんから解放された。

『じゃあ、今日は帰るね。

また、ね。』

照｢おん。

気を付けてな。｣

手を振るあっくんに
私も手を振り返しながら

ようやくお店を出た。

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