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「あの、すいません勝手に触って。野菜泥棒とかじゃないんです。」
「ははは!大丈夫分かってる、Aちゃんでしょ?」
「はい、ご存じなんですか?」
「うん、グルッペンから聞いてるし。ここに使用人以外で女の人いないしね。」
「そうだったんですか。」

なんというか、すごく親しみやすい人だ。
物腰が柔らかくて優しい喋り方。
グルッペンの事を呼び捨てにするって事はきっと彼は昔からの仲間。

「もしかして、ひとらんらんさん?」
「そう、ひとらんでいいよ。敬語もなし。」
「じゃあ…ひとらんくん、私もグルッペンからあなたの事聞いた事あるよ、動物好きだって。」
「それだけ?」
「…怒らせると報復が怖いって言ってた、私ほんとに野菜泥棒じゃないからね。」
「ふふ、分かってるって。」

くすくすと笑うひとらんくんに癒される。
彼が怒る事なんてあるのだろうか、全く想像できないんだけど。

「動物も見てく?」
「え、いいの?」
「もちろん、自慢なんだ。」

この顔はグルッペンがひとらんさんや他のみんなの事を話す時の顔と同じだ。
大好きで、誰かに自慢したくて仕方ないって顔。
なんだか嬉しくてこっちまで笑顔になってしまう。

「外道丸、俺の相棒。」
「すごい…白馬って初めて見たよ…。」
「触ってみなよ、大丈夫だから。」

ひとらんくんの後押しに恐る恐る手を伸ばす。
そっと触れた外道丸の顔はサラサラとした気持ちいい手触り。
こちらを伺うような黒く大きい瞳がすごく綺麗。

「大人しいね。」
「賢い奴だから分かってるんだよ、敵意があるかどうか。」
「いい子ね、外道丸。」

微笑みかければわずかにすり寄る外道丸。
ちょっと仲良くなれたのかもしれない。

「外道丸もAちゃんの事気に入ったみたいだね。」
「本当?嬉しいな。」
「乗ってみる?いいよな、外道丸。」

優しく問いかけるひとらんくんに外道丸が顔を向ける。
すごいな、完全に意思疎通ができてるみたい。

「外道丸もいいって言ってる。」
「ありがとう外道丸!」
「まぁでもまた今度ね、もう時間が時間だし、そろそろ朝食の時間だから。」
「え、待って、今何時?」
「もうすぐ7時だね。」

腕時計に目を落として言ったひとらんくんの言葉に顔が青くなる。
やばい…グルッペンもう起きてるかも…。

「どうしたの?顔色悪いけど、大丈夫?」
「大丈夫じゃないかも…グルッペンに黙ってここに来てるの。」
「それは………早く戻った方がいいと思うよ。」
「だよね!ごめん!先に行ってる!」

やばいやばい…!
お城へ走る足は、人生で一番スピードが出たような気がした。

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しゅうな。 - 更新停止…初めて読みに来ましたがとても良いお話だと思いました!また更新していただける日を待ち侘びています。 (2021年11月23日 11時) (レス) @page22 id: 474e2f0f3d (このIDを非表示/違反報告)
ノルン(プロフ) - 更新停止って知ってても凄くいい話だから何度も読みに来てしまう、そして続きが気になってしんどくなる… (2019年12月22日 19時) (レス) id: 265a916812 (このIDを非表示/違反報告)
チョコ氏 - 更新停止ッッ…いい所でッッ…気長に待ってますぜ! (2019年10月7日 21時) (レス) id: 19440439ad (このIDを非表示/違反報告)
なな - 更新停止……ぐぬぬっ…主さん忙しいのかな?……更新待ってますから…ね? (2019年9月7日 20時) (レス) id: 49b689c972 (このIDを非表示/違反報告)
さとりちゃん - 更新停止・・・ウッ・・・いつまでも待ってるよ。 (2019年4月7日 15時) (レス) id: 92b07cafca (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ひとちん | 作者ホームページ:なし  
作成日時:2017年8月22日 14時

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