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「気に入ったか？」
「うん、すごいね。これグルッペンの瞳みたいで綺麗だね。」
「お客様には”女神の生き血”よりも”総統様の瞳”の方がしっくりくるようで。」
からかうように笑う店主の言葉に顔が赤くなる。
グルッペンも店主と一緒に笑うから肩を縮こませながら慎重に宝石を箱へ置いた。
「こちらお包み致しましょうか？」
「いや、今日はちょっと寄っただけだ。」
「左様でございますか、またいつでもお越し下さいませ。」
店主に断りを入れて席を立つグルッペンの後に続く。
さすがのグルッペンも気軽に宝石を買ったりなんて事はしないんだな。
実は内心、期待してしまった。
宝石店の前に着いた時から実は指輪を送られるんじゃないかと。
結婚の話が出るんじゃないかと。
デートに連れてきてもらえただけでも幸せなのに、すぐにこうやって欲が出るんだからいい加減呆れてしまう。
「A？」
「ううん、ないんでもない。次はどこに行こうか？」
少し落ち込んでしまった様子に気付いたのか、心配そうに声を掛けてきたグルッペンに笑顔で顔を上げる。
いけない、せめて心配は掛けないようにしないと。
卑しい心を悟らせないようにしないと…。
それから楽しい時間はあっという間に過ぎた。
グルッペンの両手に抱えた荷物に買いすぎだと二人で笑って。
浮かれていた。
まだ自覚が足りなかった。
グルッペンの立場や、自分の立場を理解できていなかった。
子供のように、ただ一緒にいたいと夢見ていた。
夢から覚めるのは一瞬だった。
大声でグルッペンの名前を叫ぶ声に振り返ると、こちらに走ってくる男の姿があった。
男の手元に鈍く光るナイフ。
男の後ろに見えたゾムくんの姿に、密かに護衛がついていたんだななんて思った。
男の狙いは明確だった。
ギラリと獲物を狙う目がグルッペンだけに向けられていたから。
別に守ろうなんて思ったわけじゃない、体が勝手に動いた。
グルッペンと男の間に滑り込ませた体にドンっと衝撃が走ったあと、お腹にじわりと熱が広がる。
「A！！」
視界の端でゾムくんが男を倒したのが見えたのと同時に、グルッペンの呼ぶ声が聞こえたけど返事ができたかは分からなかった。
ただぼんやりと、グルッペンの赤い瞳を見て先ほどの宝石を思い出した。
綺麗な赤。
世界中のどんな宝石よりも綺麗な。
私だけの赤色。
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しゅうな。 - 更新停止…初めて読みに来ましたがとても良いお話だと思いました！また更新していただける日を待ち侘びています。 (2021年11月23日 11時) (
レス) @page22 id: 474e2f0f3d (このIDを非表示/違反報告)
ノルン(プロフ) - 更新停止って知ってても凄くいい話だから何度も読みに来てしまう、そして続きが気になってしんどくなる… (2019年12月22日 19時) (レス) id: 265a916812 (このIDを非表示/違反報告)
チョコ氏 - 更新停止ｯｯ…いい所でｯｯ…気長に待ってますぜ！ (2019年10月7日 21時) (レス) id: 19440439ad (このIDを非表示/違反報告)
なな - 更新停止……ぐぬぬっ…主さん忙しいのかな？……更新待ってますから…ね？ (2019年9月7日 20時) (レス) id: 49b689c972 (このIDを非表示/違反報告)
さとりちゃん - 更新停止・・・ウッ・・・いつまでも待ってるよ。 (2019年4月7日 15時) (レス) id: 92b07cafca (このIDを非表示/違反報告)
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