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グルッペンへのご機嫌取りと、みんなへのお礼を兼ねて作るお菓子。
アスタムにいた時と違って楽しくて仕方ない。
食べてもらう相手によってここまで気持ちが違うものなのか。
使用人の人たちに少しのスペースを借りて作ったお菓子。
手伝うという有難い申し出も、全て自分の手で作りたいからと断った。
代わりに味見を頼むと、みんな驚いた顔をした後においしいと言ってもらえた。
「片付けくらいさせて下さい！」
「いえ自分でやりますので、お仕事の邪魔してすいません。」
「手作りのお菓子まで頂いて、奥様にそこまでさせてしまうのは心苦しいのです！」
「奥様なんてやめて下さいよ！私まだ奥様じゃ…。」
「奥様？」
あれ？そういえば私まだグルッペンと結婚してない。
グルッペンは俺の嫁って言ってくれたけど、実際はしてないよね？
あれでも一応グルッペンは総統という立場だから、簡単に結婚なんてできないんじゃないの？
でも聞けないよね、いつ結婚するの？なんて…。
頭の中に浮かぶたくさんの疑問符。
使用人さん達が突然口を閉ざした私に不思議そうな顔を向ける。
だめだ、このままだと迷惑をかけてしまう。
「じゃあ…お願いしていいですか？」
「勿論です！」
「すいません、今度お礼をさせて下さいね。」
ペコペコと頭を下げる使用人さん達に手を振りながらキッチンを後にする。
どうしよう、聞けない。
でもこのままじゃ奥様って言われるたびに変な顔をしてしまいそう…。
胸に抱いたお菓子を見つめながら立ち止まった。
グルッペンの部屋には戻れない。
でも私には行くところがない。
グルッペンが総統になったからといって私を捨てるなんてあり得ない。
分かってるのに確かな証が欲しいのはただの欲張りだ。
結婚なんかしなくてもグルッペンが私をお嫁さんと言ってくれてるんだからいいじゃない。
頭では納得しても心がついてこない。
どうしてグルッペンに対してはこんなに欲望が止まらないの？
グルッペンの全部が欲しい。
グルッペンに全部あげたい。
抑えきれない自分の卑しい感情に、足元がぐらついてしまう。
前に進めない、進む方向が分からない。
「Aちゃん、どないしたん？迷子か？」
肩に置かれた手と共に掛けられた声。
それは先の見えない道に照らされた一筋の光だった。
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しゅうな。 - 更新停止…初めて読みに来ましたがとても良いお話だと思いました！また更新していただける日を待ち侘びています。 (2021年11月23日 11時) (
レス) @page22 id: 474e2f0f3d (このIDを非表示/違反報告)
ノルン(プロフ) - 更新停止って知ってても凄くいい話だから何度も読みに来てしまう、そして続きが気になってしんどくなる… (2019年12月22日 19時) (レス) id: 265a916812 (このIDを非表示/違反報告)
チョコ氏 - 更新停止ｯｯ…いい所でｯｯ…気長に待ってますぜ！ (2019年10月7日 21時) (レス) id: 19440439ad (このIDを非表示/違反報告)
なな - 更新停止……ぐぬぬっ…主さん忙しいのかな？……更新待ってますから…ね？ (2019年9月7日 20時) (レス) id: 49b689c972 (このIDを非表示/違反報告)
さとりちゃん - 更新停止・・・ウッ・・・いつまでも待ってるよ。 (2019年4月7日 15時) (レス) id: 92b07cafca (このIDを非表示/違反報告)
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