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抱き合う(ように見える)男女、それを睨みつける魔王のような男。
あーこれってヤバいんやない？
窮地に立たされているのは自分のはずなのにやけに他人事のように思った。
「何してる、と聞いているんだが？」
「まぁ落ち着いてやグルちゃん、ただAちゃんが転びそうになったとこ支えただけやん。」
ほんまAちゃんに関してだけ心の器がお猪口並の大きさやな。
理由を言っても眉間の皺が緩むことはなく、スタスタとこちらにやってきてAちゃんの手からマグカップを攫う。
ついでと言わんばかりに僕の体を足で押しのける、僕に対する扱いひどくない？
「ケガはないか？大先生に何もされてないか？」
「え、うん。ほんとに助けてもらっただけだよ？」
「グルちゃん僕に対して信用なさすぎやろ…。」
「自分の言動を振り返ってから発言しろや。」
でも僕グルちゃんの女取った事なんてないしなぁ…。
少しの悪戯心、理不尽な扱いに対する仕返しの気持ちを込めて口を開く。
「Aちゃん、さっき言った事ほんまやから。Aちゃんならいつでも大歓迎やで？」
「さっき言った事…えっ！？」
この状況で何を言い出すんだという表情のAちゃんに向かってウインクをすれば、グルちゃんの顔が嫌そうに歪む。
そない余裕ないくせに、なんでさっさと結婚せんのやろ。
ほんま傍から見たらアホらしい。
お互いが依存し合って、誰も入る隙間がないほどに想い合っているくせに、なぜそんなに不安になるのか。
ひどく危うい関係だと思う。
寄りかかり過ぎて、どちらかが倒れてしまえばもう一方も倒れてしまう。
二人の関係を怖いと思う自分がおかしいのか、それとも誰ともそんな関係性を築けない自分の嫉妬心なのか。
考えても仕方のない事やな。
どうしたってこの二人が離れる事なんてあり得ない。
自分にできることは少しでも長く、二人が共に幸せである事を願うだけや。
「グルちゃんしっかりせなあかんよ。」
「うるさい、ちゃんと分かってるわ。」
色んな意味を込めた言葉。
それ以上何も言うなと制された赤い瞳に、肩を竦めて笑い返した。
ほんま分かっとるんかなぁ。
Aちゃんが不安を感じるたびに、あんたの不安もつのるんやで。
だけどAちゃんが幸せなら、あんたも幸せになれるんや。
部屋から出て行く二人の背中を見送る。
グルちゃんに連れて行かれたマグカップがこの部屋に戻ってくることはないだろう。
諦めて手の中のお菓子を一つ、口に運んだ。
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しゅうな。 - 更新停止…初めて読みに来ましたがとても良いお話だと思いました！また更新していただける日を待ち侘びています。 (2021年11月23日 11時) (
レス) @page22 id: 474e2f0f3d (このIDを非表示/違反報告)
ノルン(プロフ) - 更新停止って知ってても凄くいい話だから何度も読みに来てしまう、そして続きが気になってしんどくなる… (2019年12月22日 19時) (レス) id: 265a916812 (このIDを非表示/違反報告)
チョコ氏 - 更新停止ｯｯ…いい所でｯｯ…気長に待ってますぜ！ (2019年10月7日 21時) (レス) id: 19440439ad (このIDを非表示/違反報告)
なな - 更新停止……ぐぬぬっ…主さん忙しいのかな？……更新待ってますから…ね？ (2019年9月7日 20時) (レス) id: 49b689c972 (このIDを非表示/違反報告)
さとりちゃん - 更新停止・・・ウッ・・・いつまでも待ってるよ。 (2019年4月7日 15時) (レス) id: 92b07cafca (このIDを非表示/違反報告)
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