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一人、屋上に座り白煙を空に吐き出す。
通り過ぎる風がやけに冷たいような気がした。
『鬱先生、ちょっと聞きたい事があるんですけど。』
風に乗って染井ちゃんの声が聞こえた。
ふらりとやって来ては突拍子もない事を言う彼女。
暇潰しのはずだったのに、いつしか彼女が来るのを待っていた自分がいた。
自分だけに興味を示して、自分だけに本当の笑顔を見せる彼女が、自分の物じゃないと分かった時。
無性にイラついたのは気のせいなんかではない。
認めたくなかった、彼女が自分の物ではないという事を。
だから冷たく突き放した。
認めたくなかった、ハマったのは彼女の方ではなく自分の方だという事を。
だから興味のないフリをした。
『抱いて下さい、鬱先生。』
あの時、あの手を拒まなかったのは間違いなく自分の欲望だった。
彼女を自分の物にしたかったのだ。
冷静になって考えてみれば答えなんて簡単。
とっくに自分は彼女に惚れていた。
ただ認めるのが怖かっただけだ。
自分の物ではない彼女を求める勇気がなかっただけだ。
『厄介な女に好かれて可哀相な鬱先生。』
そう言って自分に触れる彼女の手を振りほどかなかったのは、そうして欲しかったからだろう。
最後まで突き放せないのだから、あの時にはすでに手遅れだったのだ。
「ほんまに厄介な奴。」
惚れさせておいて。
ズカズカと人の心を荒らして、勝手に消えて。
温もりを覚えさせて、二度と触れさせないなんて。
『私、悪い女になりたいんです。』
「めっちゃ悪い女やん、最悪やな。」
風に吹かれて揺れるスカート。
そんな事はなんとも思わないくせに、きっと今の台詞を聞いた彼女は嬉しそうに照れた顔を見せるだろう。
その顔をどうしても見たいと思った。
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アオ - コメント失礼します。思わず一気読みしちゃいました！貴方様は神ですか？ありがとうございます。 (2022年1月28日 22時) (
レス) id: 99e64baad8 (このIDを非表示/違反報告)
か(プロフ) - この作品を生み出してくれて本当にありがとうございました。 (2020年3月30日 16時) (レス) id: f33d68be6d (このIDを非表示/違反報告)
なな - 単推しとニ推しとか…もうにやけとまんねぇ() 語彙力分けてほしい(( (2019年9月7日 17時) (レス) id: 49b689c972 (このIDを非表示/違反報告)
藤宮、(プロフ) - コメント失礼します…！！もう文面も設定も好みのドストレートすぎて思わず一気に読んで、衝動的にコメントを書いてしまいました。本当に楽しませていただきました。素敵な作品をありがとうございました！！ (2019年1月11日 0時) (レス) id: b4451f6a6c (このIDを非表示/違反報告)
みたら士(プロフ) - 一話目からドストライクすぎてﾝﾝｯｯってなってます本当にありがとうございます崇めます (2018年12月3日 21時) (レス) id: d493129e91 (このIDを非表示/違反報告)
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