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あれから私たちの関係は微妙な変化を迎えた。
鬱先生とは勿論触れ合うなんてことはなくなったし、英語科準備室の扉をくぐることもなくなった。
ただ時たま、鬱先生が屋上にいるタイミングを見計らって訪れる、偶然を装ってあの人を話しの口実に使って疑われないように訪れる頻度を計算してはその時間を楽しんだ。
「へぇあの人甘い物が好きなんですね、意外です。」
「せやで、やから手料理ならお菓子とかの方が喜ばれるんちゃう？」
今日もこうして、お昼休みに煙草を吸う鬱先生の隣であの人の話をする。
あの人の好みを聞くとつい、鬱先生の好きな食べ物は？と問いかけてしまいたくなる。
迂闊な事を聞いてしまったら鋭い先生の事だから恐らく私の気持ちに気付いてしまうだろうから、前とは違った緊張感のある会話になってしまう。
「グルちゃんといつから婚約しとったん？」
「中学に上がる頃ですかね。」
「なのにグルちゃんの事全然知らんのやなぁ。」
「興味なかったんです。親に勝手に決められて、どうでもいいかなって。」
「ほーん、まぁそんな感じやったなぁ…。」
空に向かって煙を吐き出す鬱先生の横顔。
そんな感じとは一体何のことだろう、聞いてもきっと答えてくれないだろうから静かにその横顔を見つめる事しかできない。
「でもグルちゃんの事知ったら興味沸いてくるやろ？なんていうんやろな、カリスマ性？人を引き付ける魅力があんねんあの人。」
視線だけこちらに向けてニヤリと笑う鬱先生。
心の奥にじわりと広がる黒い気持ち、これは間違いなく嫉妬。
鬱先生にこんな風に言って貰えるあの人が羨ましいのだ、私には何もないから。
この体一つでしか鬱先生を楽しませることができなかったから。
「そうですね、本当にすごい人だと思います。」
嫌味みたいな言い方になってしまったかもしれない。
心の内を悟られたくなくて、その言葉を吐き捨ててから鬱先生の顔を見ずに屋上から立ち去った。
屋上の扉を閉めると同時にポケットから振動が伝わる。
もう私に電話をしてくる相手なんて一人しかいない。
「なんですか？」
『なんや、機嫌悪そうやな。』
「あなたと話してる時に機嫌がよかった事なんてないでしょう？」
『随分な言い方だな。』
「要件がないなら切りますけど？」
『今晩飯でもどうだ？』
「いいですよ、詳細はメールにでも送っといてください。」
それだけ言って通話を切った。
私の二つ返事に電話の向こうであの人が驚いたように息を飲む音がして少しだけ勝ったような気持ちになる。
あの人に対する子供じみた反抗心に呆れて笑うしかなかった。
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違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
アオ - コメント失礼します。思わず一気読みしちゃいました！貴方様は神ですか？ありがとうございます。 (2022年1月28日 22時) (
レス) id: 99e64baad8 (このIDを非表示/違反報告)
か(プロフ) - この作品を生み出してくれて本当にありがとうございました。 (2020年3月30日 16時) (レス) id: f33d68be6d (このIDを非表示/違反報告)
なな - 単推しとニ推しとか…もうにやけとまんねぇ() 語彙力分けてほしい(( (2019年9月7日 17時) (レス) id: 49b689c972 (このIDを非表示/違反報告)
藤宮、(プロフ) - コメント失礼します…！！もう文面も設定も好みのドストレートすぎて思わず一気に読んで、衝動的にコメントを書いてしまいました。本当に楽しませていただきました。素敵な作品をありがとうございました！！ (2019年1月11日 0時) (レス) id: b4451f6a6c (このIDを非表示/違反報告)
みたら士(プロフ) - 一話目からドストライクすぎてﾝﾝｯｯってなってます本当にありがとうございます崇めます (2018年12月3日 21時) (レス) id: d493129e91 (このIDを非表示/違反報告)
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