人はそれを愛と呼ぶ

＃３ ページ3

なんて…綺麗な人なんだろう……

私を支えてくれたのは長身の男の人だった

お礼を言う為に見上げたその姿は、ふわふわとした真っ白な髪に綺麗に通った鼻筋
体から伸びる細く長い手足は人並み外れたスタイルの良さ

そして何より…反射的に私を支えてくれたせいなのか、掛けていたサングラスがずれた隙間から覗く
真っ白な長い睫毛と……晴れた空を凝縮した様な、透き通る程綺麗な青い瞳


息を飲む程の美しさだった


見慣れない格好をしている…
首元が少し隠れる程のハイネックの紺色のセットアップに、ゴールドの見た事のない校章の様なボタンの付いた…

何処かの学校の制服なのだろうか
多分 歳は私とそんなに変わらないと思うけど……

｢…おい…何じろじろ見てんだよ、ドジ女｣

A｢………え？｣

｢だから…お礼も中途半端にあほ面晒して、何を人の事舐め回す様に見てんだ？っつったんだよ｣

A｢……｣

はぁぁぁぁあああ！？何この人！
初対面の人に向かって言う言葉じゃないでしょ！

見た目がいいから騙される所だったわ！

中身と見た目の良さが伴って無さすぎじゃない！？

A｢ｽｰ……し…失礼しました…っ…支えて下さりありがとうございます｣ﾆｺｯ

本音が盛れ出してしまいそうな昂りを深呼吸で押さえて、引き攣りそうな表情筋に必死に笑顔を作るように司令を出す

｢…ふん、ど〜いたしまして〜。気ぃ付けろよ｣

A｢…｣ｲﾗｯ

あんたに言われなくても…っ

追い討ちを掛けるように吐き捨てられた台詞に、今にも切れてしまいそうな血管がぴくぴくとし出す

｢おーい 悟！君、こんな所に居たのか！｣

｢あ、傑｣

文句の一つでも言ってしまいそうなのを我慢していると、人を掻き分けて呼び掛けてきた
髪をお団子に結った 同じ様な服装の人物が現れた

｢駄目じゃないか、私から離れたら…勝手に任務に着いてきたかと思えばふらっと消えたりして…｣

よく分からないが、こっちの人は多少まともな人なのか
説教じみた事を言いながら その失礼男を連れて再び人混みの中に消えて行った


夕凪｢お…お嬢様、大丈夫でしたか！？お怪我などは…｣

A｢大丈夫…でも危うく、もう少しで更に醜態を晒してしまう所だったわ｣

こんな人が多い所で転びそうになった挙句、初対面の相手に怒鳴り散らすなんて事になっていたら…

A｢考えただけでも恐ろしい……ごめんなさい、早く支度を済ませて会場に行きましょう｣

夕凪｢はい…っ｣

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