支度せよ ページ28
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朝、鯉伴から連絡があり今晩私を本家に迎えると言ってきた
「………本当に次の日にやるのか」
確かに昨日、最短なら明日という話はしていた
とはいえ本当に最短でやるなんぞ思っていなかった
可能性でしか考えてなかったのに
「…ぬらりひょんと鯉伴が張り切ったのだろうな」
あの後本家でキビキビ指示を出す二人の姿が容易く想像できる
「ふふ」
こうなれば私も支度をせねばなるまい
「うんとめかしこめと言われたからな…」
さて、ならまずは服から決めなければな
私はいそいそと箪笥を開け放った
▽▲▽▲▽
「ねぇ鯉伴さん」
「ん?なんだ、若菜」
本家では昼間からみんな忙しそうにバタバタと働いていた
その理由はもちろん、昨晩に突然初代と二代目に出された命令に従うため
"明日の夜、自分たちの大切な者が本家に帰ってくる。だからその歓迎の支度をしろ"と指示を出した二人に誰が来るのかという質問を何名かぶつけたものの、返答はない
「今日の夜帰ってくる鯉伴さんとお義父さんの大切なヒトって誰なの?」
教えられていないのは鯉伴の妻である若菜も同じで、若菜は疑問を素直に己の夫へと告げた
「んー…」
「やっぱり教えてくれないのね」
「ハハ、悪いな。来てからのお楽しみってやつだよ」
「じゃあ一つだけ。女の人?それとも男の人?
それによって料理も変えようと思うの!」
やはり男ならばがっつく系の料理を好む
女性ならヘルシーな魚であったり、サラダであったり、そっちの路線に変えることも可能だ
「ああ、それなら答えられるな。今日来るのは女の人だぜ」
「女性…」
「??ん?どうした、若菜」
「歳は?」
「え?あー……」
鯉伴は考える
歳は言ってもいいのか?
言うなら前世の分含めた歳を?それとも今の年齢?
「…わり、詳しくはわかんねぇや」
「あら」
「大丈夫、若菜達の飯はいつも美味い。
あの人だって喜んでくれるさ」
ポンポンと己の妻の頭を撫でた
「今日帰ってくる人はお義父さんと鯉伴さんの大切な人なのよね?」
「ああ。あの人がここに帰ってくるのをずっと待ってたんだよ俺らは」
夜が楽しみだな、なんて楽しげに笑う夫に若菜もつられて笑った
「それじゃあその人が楽しくなるような素敵な料理を作らないと駄目ね!」
「ああ、頼むぜ若菜。その人が来たら紹介するから」
「ええ、お願いするわ鯉伴さん!」
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江(プロフ) - 紅葉さん» こちらこそありがとうございます!待ち望んでいただいてるようで嬉しいです。更新頑張ります! (2020年11月12日 18時) (レス) id: 088474bcfb (このIDを非表示/違反報告)
江(プロフ) - MAREさん» ありがとうございます!頑張りますね! (2020年11月12日 18時) (レス) id: 088474bcfb (このIDを非表示/違反報告)
紅葉(プロフ) - 更新ありがとうございます!早く遠野編や京都編なども読んでみたいです。これからも更新頑張ってください! (2020年11月6日 20時) (レス) id: 105efbdf0c (このIDを非表示/違反報告)
MARE(プロフ) - 更新まってましたー!更新ありがとうございます(o^-^)これからもゆっくり頑張って下さい!応援してます〜! (2020年11月6日 18時) (レス) id: 7446762651 (このIDを非表示/違反報告)
江(プロフ) - あいねこさん» いえ、一応まだ更新はします。ただ単に今亀更新なだけです、すみません汗 ですが、サイトへの移行が終わればどうするかわかりません。でも現在としてはまだ更新いたします。 (2020年10月29日 21時) (レス) id: 088474bcfb (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:江 | 作成日時:2020年5月21日 15時