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けれどそれは、鯉伴様が山吹の花を見て紡いだあの古歌によって壊された
あの古歌が"鍵"でした
そこで(わたし)は全てを思い出すように成されていたのです

あの時、(わたし)の異変に気づきAが鯉伴様を押していなければ(わたし)は鯉伴様を刺殺していた
本来はそうなるはずだった
けれどAという子の行動で、変わったんです

それでも(わたし)の絶望は変わらなかった
…そうして、愛しい人を殺しかけ、愛しい人の子を傷つけ




(わたし)は…あの狐になった…」

「すまねぇ、すまねぇ乙女…!俺がわかっていれば!
ちゃんと考えてればこうならなかったかもしれねぇのにっ」

「…いいえ、鯉伴様…いいえ…
(わたし)たちは共に苦しむ道を選んでしまったのですね…」

「乙女……」

「あのとき(わたし)たちは本当に幸せだったのに、お互いが、お互いを思いすぎて…
あなたを苦しませてしまった…
バカな(わたし)をお許しください」

「バカは俺の方だ、あんたを不幸にして結局…
一人で幸せになっちまった」




乙女は頬に添えられる鯉伴の手に己の手を重ねて微笑む
その笑みは、ぬらりひょんの言うようにとても美しかった




「いいえ(わたし)は、それを望んでいた…
あなたが救われることを…」

「すまねぇ…本当に、本当に…」

「良いのです、あなたが、幸せなら……。……リクオ……」

「!」




名を呼ばれ、ゆっくりと近づいていく
乙女はリクオの顔に手を添え、隣に倒れている人間に戻ったAの顔にも手を添えた




「うり二つ…鯉伴様に……。
(わたし)に子が成せたなら、きっと、二人のような子だったのでしょう」




そして乙女の体から力が抜け添えられていた手が地へと落ちた
誰も、声を出せなかった
奴良組を潰す為だけに呪いに苦しみ、勝手に甦らせられ、愛する人を殺しかけ、そしてまた愛しい人たちを殺す存在を生み出してしまった
山吹乙女は、鵺たちに道具として振り回されたのだ




「じじい」

「!」

「今すぐ三代目の座をよこせ」

「リクオ…」

「力がいる…どんな手を使ってでも…
強くなんなきゃいけなくなった。
この(かたき)は…オレが刃にかけなきゃなんねぇ…」

「……お前にまで、背負わせて……悪い。リクオ」

「姉貴がさっき言ってた。
『弟の尻を拭うのが姉の役目』だってな。
なら、親父とジジイの尻拭うのは孫と息子の役目だ」



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(プロフ) - 抹茶まちゃさん» 面白いと言っていただけてホントに嬉しいです!!頑張りますね! (2020年3月13日 16時) (レス) id: 9e3e8858ee (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - 透騎さん» そんなこと言われると私も涙でそうです…!これからもよろしくお願いします! (2020年3月13日 16時) (レス) id: 9e3e8858ee (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - 神音(かぐね)さん» 提案ありがとうございます!これからも応援よろしくお願いしますm(_ _)m (2020年3月13日 16時) (レス) id: 9e3e8858ee (このIDを非表示/違反報告)
抹茶まちゃ - もうほんとに面白すぎて何回も泣きました。これからも頑張ってください。応援しています。 (2020年3月9日 23時) (レス) id: 16b9a6e8fc (このIDを非表示/違反報告)
透騎(プロフ) - 面白すぎて涙でそう…過去類を見ない名作では???何度読み返しても面白いです。更新、頑張ってください! (2020年3月9日 14時) (レス) id: 77908472ca (このIDを非表示/違反報告)

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作者名: | 作成日時:2020年1月12日 23時

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