46「…絶対中は見やんといてな？」 ページ46
ゾムに段ボールを渡してから二人で黙々と作業をした。
途中で飽きて、休憩しようとかそういうズルい考えも出てきたけど、隣で必死にやっていたゾムの横顔を見ていたらそんな気持ちはなくなっていた。
部屋にたくさんあった無駄に量の多い段ボールを、全部潰し終わった瞬間、私はガッツポーズをとった。
「ありがと、手伝ってくれて。」
そうゾムに話しかけたが、何の言葉も帰ってこずに沈黙が流れるだけ。
不信に思って、隣に居る筈のゾムに視線を投げかけた。
「…なくした…。」
絶望、という様な青白い顔をしてポケットとカバンをまさぐっているゾムがいた。
「…何失くしたん？」
そう聞けば、ようやく私に気づいたみたいでハッとしたような表情でこっちを見てから、慌てて笑顔を取り繕った。
「…こんくらいのちっちゃいかんかん。中に大事なもん入れててんけど、失くしたみたいやねん。」
「そのかんかんって何色？ 私も一緒に探すよ。」
そう言えば、ゾムは嬉しそうに目を見開いたがすぐに険しい顔つきになった。
その険しい顔つきが怖くて、ゾムのこと怒らせちゃったかなとか思考を張り巡らせている間に、ゾムは口を開いた。
「ありがと！ 緑色のかんかんで蓋んとこにハートのシール貼っとる。」
なんだ全然怒ってないじゃん、と安堵のため息をつこうとした瞬間、ゾムはさっきの険しい顔つきを崩さずに重々しい雰囲気で口を開いた。
「なぁ、もし見つけてもやで…絶対中は見やんといてな？」
そういわれて、勢いよく頭を縦に振った。
「うん！ わかってる！！」
それからゾムと手分けして探した。
とりあえず私の家に来てからのゾムがいた場所を辿ろうとして、部屋から出た。
…私の部屋に何かされたら怖いから出来るだけ早く戻って来よう、とゾムだけになった自分の部屋に背を向けて考えた。
一階に降りて、玄関まで行くと靴箱の上に目立つようにかんかんが置いてあった。
かんかんは確かに緑色で蓋にはハートのシールが貼ってあった。
「…え、こんなに早く見つかっちゃっていいものなの？」
早く見つかりすぎたかんかんに不信感を抱いた私はかんかんから距離をとった。
一つ息を吐いて、階段の方を見上げてゾムが居ないことを確認すると、またかんかんの近くに行った。
「…バレなかったらちょっと開けてもいい、よね…？」
一人で呟いて、大丈夫大丈夫！と自分を安心させるように首を縦に振った。
かんかんを手にもって、蓋を開けた。
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狐(プロフ) - いえいえ！！いいですよ。頑張ってください！！ (2020年1月21日 19時) (
レス) id: 96285177cb (このIDを非表示/違反報告)
Lano.(プロフ) - 狐さん» コメントありがとうございます！！すみません！コメント書いて頂いていたのに気づいてなくて全く返信出来てなかったです…申し訳ございません…。そういってもらえて嬉しいです！！最近は更新さぼってましたがまた頑張らさせて頂きます！！ (2020年1月21日 19時) (レス) id: 803ceaac19 (このIDを非表示/違反報告)
狐(プロフ) - 投稿楽しみです！頑張ってください！ (2019年11月15日 21時) (レス) id: 96285177cb (このIDを非表示/違反報告)
Lano.(プロフ) - sさん» コメントありがとうございます！楽しみに待っていたなんて…そんな嬉しいお言葉ありがとうございます！更新頑張りたいです!! (2018年8月17日 19時) (レス) id: 86d5cb8b54 (このIDを非表示/違反報告)
s - 更新ありがとうございます！ずっと楽しみに待ってました！これからも頑張ってください！！ (2018年8月17日 18時) (レス) id: 99d96b47f5 (このIDを非表示/違反報告)
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