★request.3-5 / kwns ページ30
お店を飛び出して、行き着いた先は小さな公園。
行く当ても無く歩いて辿り着いてしまったのは思い出の場所―…
(公園なんてあるんですねー)
(こんな街中に珍しいなー、ちょっと休んでこか？)
(はい！あ、あそこにベンチありますよー)
(っと、手引っ張らんでもええやろー)
(賢志郎さん、早く！)
(行く行くから、ふはっ、テンション高過ぎやなぁ)
バーで飲み終えた後は、離れがたくてよく二人でベンチに座ってアルコールを抜くためだなんて、理由を付けて時間が許す限り話をした。
わたしの好きな時間は、心地の良い場所は、いつだって彼の隣。
一緒に行ったお店も、一緒に見た景色も…好きになるのは後に付いてくるもので、
「賢志郎さんとじゃなきゃ…意味ないのに、っ…うっ……、」
たとえ、どんなに短い時間だったとしても。
わたしは賢志郎さんでなくちゃ駄目なのに…どうして、あの場ではっきりと言えなかったんだろう。
後悔が込み上げてくるように、止め処なく涙が溢れてくる。
「…っはぁ、っ…―居た！！」
「？！」
「A……」
「っ、けんしろ、うさん…」
振り返るとそこには、息を切らした賢志郎さんが立っていた。
この寒空の中、走り回っていたのだろうか、髪は乱れ汗ばんだせいでおでこに前髪が張り付いている。
「どう、して…っ？！」
まだ止まらない涙を隠そうと顔を手で覆おうとしたけれど、それより先にぐいっと胸に引き込まれるように抱きしめられた。
「っ、ごめん！…ほんまに、ごめん…」
ぎゅうと抱きしめられて、触れられる温もりに余計に涙が溢れてくる。
「…っ、ふぅ…っ……」
泣き止まないわたしの頭をあやすそうに優しく撫でてくれる。
「泣きやんでくれへんかなぁ…」
語りかけるその声は息が上がっていたけれど、紛れもなくわたしへの言葉は…感情の篭った、温かい声色。
「っ、ごめんなさっ…い…止まらなく、って」
「…許してな」
そう言って、撫でてくれていた手で頬を包まれて、見上げた時にはもう賢志郎さんの顔が近づいていて、零れ落ちる涙を唇ですくうように啄ばまれる。軽くちゅっ、ちゅっと瞼に目尻に頬に…と右に左に、それを何度も繰り返す。
「あ、っ…あの…」
その行為への驚きと恥ずかしさに、顔に熱が集まっていく。
「……ん、止まった？」
「強引です…」
「泣かせたままは嫌やったから」
そう優く微笑まれて、しょうがないなぁと自然と頬が綻んだ。
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hisui(プロフ) - ちぃさん» 日常に潜むドキドキといったら、お風呂！となりましてこんな感じになりました◎ いつも、コメントありがとうございます♪ (2021年1月30日 3時) (
レス) id: 8cf1806117 (このIDを非表示/違反報告)
ちぃ(プロフ) - お風呂シチュエーション、、、！最高です！！もう色気が、！そしてSさ加減が絶妙で素敵でドキドキしちゃいました！ (2021年1月30日 0時) (レス) id: 0366618b77 (このIDを非表示/違反報告)
ちぃ(プロフ) - Sっ気全開のお話が思い浮かんだらまた更新お願いします(笑)楽しみにしています！ (2021年1月20日 7時) (レス) id: 0366618b77 (このIDを非表示/違反報告)
hisui(プロフ) - ちぃさん» 前ページ含め、コメントありがとうございます！NさんはSというか攻め要素強めにしちゃうので、そのように受け入れて貰えて安心致しました(笑) (2021年1月20日 3時) (レス) id: 55d20fc082 (このIDを非表示/違反報告)
ちぃ(プロフ) - 南條さんの新しいお話すごくドキドキしながら読みました！！初めから最後まで色気たっぷりで最高でした！また更新された際にお話読ませていただきます！ (2021年1月16日 7時) (レス) id: 0366618b77 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：hisui | 作成日時：2018年7月16日 19時
