角砂糖に愛を込めて【WT】【短編集】 (ページ9)

今日:76 hit、昨日:324 hit、合計:27,967 hit

・ページ9

エプロンを付けカウンターに立つ。他のお客さんの対応をしながらまだかまだかとAちゃんを待ち続ける。でもドアベルが鳴り胸を弾ませても、落胆するの繰り返し。

チリンチリンとドアベルが鳴る。

またかと思うが、少し期待してドアを見るとAちゃんが立っていた。でもいつも一緒に来ている友達は居なくって、Aちゃんだけだった。

「お久しぶりですね。お友達の方は⋯、？」

『ぇ、ぁ、お久しぶりです、？友達は見事に追試に引っかかったらしいんで今日は1人なんです』

「そうなんですね、お好きな席にお掛け下さい」

つい会えたのが嬉しくて、久しぶりとか声をかけてしまう。こんなこと言ったら俺がAちゃんのこもを覚えてるのがバレちゃうじゃん。仕方ないけどさ、。

いつもAちゃんたちが使っていた少し広めのテーブルに行くのかと思って歩き始めたAちゃんの事を見つめるも、Aちゃんはそのまま真っ直ぐ進んでカウンター席に腰を下ろした。

「珍しいですね。ご注文はどうされますか？」

『1人でテーブルを使うのも気が知れないので⋯笑
えっと、ストレートティーでお願いします』

「分かりました。少々お待ちください」

急いでカウンターまで行き、Aちゃんの注文を聞く。きっとストレートティーなんだろうけど一応ね。

いつもだったらそのままオーダーを厨房に流すけれど、Aちゃんに出すものだから、と俺自身で慎重に用意する。

「っし、OKだろ」

紅茶だからあんまり工程はなくて、上出来と言われるくらいには出来たのだろう。運んでる途中で零してしまったりしたら元も子もないから。

気を張ってカップに触れようとすると後ろからポンッ、と肩を叩かれる。振り向くとこのカフェのマスターが立っていた。

「きんときくん、これ」

「えっと、、珈琲ですか、？」

「あの子と一緒に飲んできなさい」

応援してるよ、と小声で言われて全てを理解した。マスターにはバレてたんかよ⋯。でも、こうやってAちゃんと一緒に居れる機会があるのなら、。

「お待たせしました。ストレートティーです」

『ありがとうございます』

「あの、、僕もここで一緒に飲んでいいですか？」

『もちろんです！1人で寂しかったんで、"きんときさん"と一緒の方がいいです』

Aちゃんの座っている席のちょうど反対側。対面になるように腰掛ける。あのAちゃんの顔をこんなに間近で見ることができるなんて、。胸の高揚が治まらない。