角砂糖に愛を込めて【WT】【短編集】 (ページ8)

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「お待たせしました。ホットココアとストレートティーになります」

厨房には何人か俺と同じバイトがいるが、接客の担当なのは今の時間、、というか基本俺1人で何とかしている。だからもちろんAちゃんの所へ運べるのは俺だけだ。

どうやら勉強のためにここに来たらしく、机の上にはノートやら問題集やらが既に広げられていた。

『ありがとうございます』

わざわざ問題集の解いてる手を止めてまで感謝を伝えてくれるAちゃん。きっと育ちがいいんだろうな。

話してみたい、という気持ちは積もるものの今日初めて会ったってことと店員とお客さんという関係性が邪魔をして流石に声はかけれなかった。

今日もAちゃん来てくれるのかな、。

あの日以来、Aちゃんは毎日もう1人の女の子と共にこのカフェへ足を運んでくれる。俺は元々、月曜日から水曜日までしかバイトを入れていなかったが、毎回Aちゃんに会うので、もしかしたらAちゃんは毎日ここに来てくれてるんじゃないかと、仮説を立ててバイトの数を増やした。

Aちゃんたちが来てくれるのはだいたい16時を過ぎてから。でももう17時を過ぎている。事件に巻き込まれたりしてないかな、と不安になるけれど用事があっただけかもしれないし、。
Aちゃんのことを何も分からない自分が悔しくなった。

na「きんときー？聞いてる？」

なかむにそう声をかけられる。たった一日、Aちゃんに会えなかっただけで俺は周りの人の話しすら頭に入らないぐらいのショックを受けていた。

「ごめんごめん、んで？」

na「いやだから、遊び行かね？」

「あーごめんバイトだわ。今日」

kr「きんとき木曜バイトないんじゃなかったっけ？」

「最近増やしたんだよね」

na「いや、バイト多くね？週何？」

なかむにそう言われ心の中で数えてみる。月、火、水、木、金と月に2回土曜日もあるから⋯まあ、週5くらいか。普通より多いぐらいなんだろうけど、Aちゃんに会えるとなると、別に気にならない。

「週5ぐらい？」

kr「多すぎね？！バイトガチ勢じゃん」

na「休めねぇの？」

「、無理かな」

na「じゃあきりやんと行くか」

行こうぜ、となかむときりやんが歩き出してく。それを背に俺もいつものカフェへ向かった。