似た者同士【type Doll】《ジャックハート》 ページ39
「ジャックハートさんなんて大嫌い!」
勢いに任せて彼を押し退ける。
やってしまった。
彼に言ってはいけない事を言ってしまったのね。
現に彼は目を見開いて驚いている。
それでも私は口から溢れる言葉を止める事が出来なかった。
「兎に角いや!リクルーティングは他のメンバーと行って貰って頂戴!」
わぁっと勢いで溢れる言葉。
きっとこれも周りも困らせている原因。
すると、ヴェールが私を優しく抱きとめ、慰めてくれた。
「まぁ、グランさん泣かないで、落ち着いてくださいまし。
一体、ジャックさんに何をされたんですの?」
事実 何もされてない、でも理由も言いたくなくて首を横に振る。
ごめんね、ヴェール 違うの。
彼は本当は何も悪くないんです。
これは私の劣等感が生んだ、酷い嫉妬なの。
・
今日、ふと外に出た時に聞こえてしまった誰かさんの声。
『ドールちゃんってさ、舞台の上の世界の人感?
なんかジャックと被ってるよね。ジャックの方がキャラ立ってる分、可哀想。』
分かってるよ、私は所詮ショーのお人形。
生まれながらのエンターテイナーに勝てっこないなんて。
今までだってこの劣等感はあった。勿論、隠してたのに。
『じゃ、グランちゃん。今日はヨロシクね』
いつもこれと言って特に会話をする訳でもない彼。
なんの気まぐれか、へらっと優しく微笑んで話しかけてくる彼。
なんで今日に限ってそんなことを。
今まで我慢してたものが、どこかで音を立てて壊れた。
「やめてよ……ジャックハートさんなんて大嫌い!」
・
気付いたら彼を突き放していた。
これがさっきのくだりまでの経緯。
…くだらない理由だなんて、私が一番分かってるよ。
それでも、私がマスターの為に積み重ねて来た事で誰かに負けたくなんかないし、それを人に軽んじられる訳にはいかないの。
だからと言って彼に罪はない訳で……。
謝らなくてはいけないのも事実。
取り敢えず、謝って。1人になろう。
そう思い、口を開こうとすると
「ボクだってグラン…なんて好きじゃない」
乾いた様に笑う彼の瞳は、寂しげに揺れ、私を見ていた。
私が彼を拒否したのに、何とも言えない気持ちになる。
あぁ、もう。
自業自得なのに、なんて苦しいの。
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れいれいだぅ〜 - フェロー様イケメンなの凄いわかります!フェロー様の出てくる話ももっと見たいです!更新頑張ってください!! (2020年3月15日 3時) (レス) id: ed2d22e147 (このIDを非表示/違反報告)
翡翠(プロフ) - 白狼ラトさん» 初めまして!リクエストありがとうございます!返信が遅くなってしまい、大変申し訳ありません!それでもはV様との甘いストーリーの制作をさせて頂きます! (2018年3月9日 19時) (レス) id: a1682b21b7 (このIDを非表示/違反報告)
白狼ラト(プロフ) - 初めまして!早速ですがリクエストでMrVで甘いお話をお願い致します!夢主はマスターヴィランズです! (2018年2月19日 21時) (レス) id: cd54c7533b (このIDを非表示/違反報告)
翡翠(プロフ) - みゆきさん» コメント、リクエストありがとうございます!私も手下ロスで小説を書いているので同じ方がいると嬉しいです笑 エイトフットの甘い小説ですね、時間が掛かってしまうかも知れませんが頑張りますね! (2017年12月29日 14時) (レス) id: a1682b21b7 (このIDを非表示/違反報告)
みゆき(プロフ) - リクエストでエイトフットとグランちゃんの甘めストーリーをお願いします!ハロウィンが終わっても手下が頭からはなれません!なので手下の小説を読むとハロウィンをおもいだせて嬉しいです!これからも更新頑張ってください! (2017年12月29日 10時) (レス) id: 27fb89c1db (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:翡翠 | 作成日時:2017年11月16日 20時