12.魅入らせる者 ミカエラ side. ページ15
あの日から、もう4年が経った。
僕のせいで家族がばらばらになってしまった。1度だって、忘れたことはない。
優ちゃんとジュダル兄さんは人間に利用され、レン兄さんは僕らの前から姿を消した。
『俺がお前らを守ってやるから！！』
フェリドの罠だと分かった瞬間、そう叫んだジュダル兄さんは、とても必死そうだった。
まるで、レン兄さんの代わりをしようとしているようだった。
ジュダル兄さんは、魔法と呼ばれる不思議な術が使えた。その術を使って、あるいは身を呈して僕らをフェリドから守ろうとしていたのを、今でも覚えている。
それでも、僕らはフェリドから逃れることは叶わなかった。優ちゃんと、ジュダル兄さんの2人を除いて……。
「レン兄さん……」
僕は、誰もいない部屋の中でぽつりと呟く。
レン兄さんは、サングィネムにはいなかった。いや、存在すらしなかった。
他の吸血鬼たちに聞いても、レンという名前の人間はいれど、女性のような顔つきの男性など見たことはないと言う。
では、一体誰だったのだろうか？
「こんなところにいたのね。ミカ」
扉の開く音がしたかと思えば、声がした。
振り向かずとも、声で相手が分かった。
「……クルル」
「仮にも母親に顔を合わせないなんて……まあいいわ。それよりも……明日、紅玉がサングィネムに来るそうよ。ミカは初めてよね」
＜旅好き＞の妹、練 紅玉。
僕が吸血鬼になった日から、耳にタコができるほど聞かされた名前だ。
手のかかる妹のような友人なんだとか。
感情のない吸血鬼が何を言っているんだ。
最初はそう思った。
しかし、そんな考えなどすぐに吹き飛んだ。
＜旅好き＞とその妹である練 紅玉について語るときだけ、彼女は慈しむように微笑んだからだ。吸血鬼のする表情ではない。
これだけなら、クルルが可笑しいだけだと思える。だが、あのフェリドも＜旅好き＞について知っていた。1部の吸血鬼の中ではかなり有名らしい。
それにしても、フェリドがあんなに優しそうに笑った時は、正直言って鳥肌が立った。
『すべてを魅入らせる吸血鬼、練 紅覇』
フェリドは＜旅好き＞についてそう語った。
そのときのフェリドの表情が、恋する乙女のようだったのはきっと気のせいだろう。
開いてはいけない扉を開けていないか心配だが僕は知らない。
『感情のない私たち吸血鬼でさえ、彼は何ともないように魅入らせる』
クルルも、同じようなことを言っていた。
＜旅好き＞は、謎の多い吸血鬼だ。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 96人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
雪薇(プロフ) - マギと終わりのセラフのコラボ、最高です！更新まってます。 (2020年8月30日 23時) (
レス) id: 479dd11547 (このIDを非表示/違反報告)
湖@清光可愛い鯰尾君可愛い亀ちゃん大好き！！！ - すっごい！凄い面白いです！マギ×終わりのセラフの小説でいっちばんこの小説が好きです！更新頑張って下さい！応援しております！紅玉ちゃんの御相手はジャ((何でも無いです。あはは！^ ^ (2018年2月13日 22時) (レス) id: 073b3b6cdc (このIDを非表示/違反報告)
燈(プロフ) - コメントありがとうございます！オチなんですが、まだ正確には決まって無いです(TT)決まりましたら、夢小説からご連絡？させていただきます！更新頑張ります（≧∇≦） (2018年1月23日 23時) (レス) id: 08806ff3c6 (このIDを非表示/違反報告)
レイ - はじめまして！レイといいます！練紅覇大好きです！そして小説面白いです！そして如意練刀かっこいいです！アラジンはかっこいいとかわいいです！オチはアラジンですか？更新頑張ってください！ (2018年1月23日 21時) (レス) id: fec1ae58aa (このIDを非表示/違反報告)
燈(プロフ) - すみません！思いっきり間違ってました！コメントありがとうございます！☆*:.｡. o(≧▽≦)o .｡.:*☆ (2018年1月20日 21時) (レス) id: 08806ff3c6 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：燈 x他1人 | 作成日時：2017年12月10日 17時
